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法定水準にとどまる企業の育児支援―厚生労働省調査
●  企業の3割が妊娠中の通勤緩和認める
  厚生労働省では、女性労働者の雇用管理の実態把握のために、毎年内容を変えながら、調査を行っている。
  平成16年度は、雇用機会均等法にもとづく母性健康管理措置の実施状況を調査した。2005年4月には育児・介護休業法が改正、同時に次世代支援法も施行されるなど、企業の育児支援義務はますます強まっている。
  厚生労働省調査によると、まず妊娠期間中の通勤緩和措置の規定を持つ事業所は28.5%。規定内容は、「勤務時間の短縮」77.1%、「時差通勤」55.8%、「手段経路の変更」12.6%という結果だった。
  しかし、この規定を実際に利用(申請)しているのは、妊産婦のうちの3.1%に過ぎない。
●  産前産後休業が有給なのは全体の3割
  次に産前産後の休業規定については、法定どおり(産前6週間※ただし多胎妊娠は14週間、産後8週間)とするのが、全体の95.7%である。
  法定を超える水準は全体では4.0%にとどまるが、500人以上の企業については27.3%が法定水準を超えており、企業規模が大きいほど有給期間を長く認めている実態があるようだ。また、産前産後休業期間中を有給とする事業所は28.1%である(そのうち全期間を有給とするのは52.8%と半数にとどまる)。
  この休業制度は実際どのように活用されているのだろうか。
  まず産前の休業日数は、法定では6週間であるのに対して実際の取得は5.5週間(38.2日)。産後の休業日数は、法定の8週間に対して8.3週間(57.9日)となっている。実際に法定日数はほぼ休業を取得しているようである。
  しかし、規定の産後休業後に直ちに復職できる女性のいる事業所は、全体の18.2%と5分の1にとどまる。復職した女性の98.6%は、休業前の原職や原職相当職に職場復帰している。
●  産前産後休業期間の取扱いは半数が未定
  産前産後の休業期間を(1)昇進・昇格、(2)昇給、(3)退職金の算定、などにどのように反映するかについては、「その期間を考慮している」とする事業所が(1)については32.0%、(2)34.4%、(3)38.9%、とそれぞれ全体の3分の1を占めたが、それ以上に「特に決めていない」事業所が(1)51.9%、(2)50.2%、(3)46.4%と、ほぼ半数だったのが注目される。
  出産者のうち、育児休業を申請・開始した者は70.6%。また、育児のための勤務時間短縮等の措置がある事業所は41.9%となっている。ちなみに短縮は「こどもが小学校に入学するまで」との回答が最も多かった。
出所:厚生労働省「平成16年度女性雇用管理基本調査」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.08.22
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