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「少額短期」の保険期間・金額など厳しく定義ー改正保険業法の政省令案
●  厳しい引受保険金額の上限
  行政の監督を受けない共済(無認可共済)を規制する改正保険業法の政省令案が公開された。
  先の国会で改正された保険業法(施行は平成18年4月1日)に対応するものである。
  特に規制する必要のない共済もあるため、規制対象外とする共済の範囲が論点のひとつであったが、企業内または学校内で行われている共済のうち、会社および連結基準対象子会社などが従業員らを相手方として行うもの、専修学校または一部の各種学校が生徒を相手方として行うものなどについては対象外となった。
  また、「少額短期」の定義にかかわる保険期間、保険金額、保険料収入はかなり厳しく定義されている。
  保険期間については、生命保険・医療保険は1年(損害保険は2年)まで。
  保険金額の上限は、以下のように保険種類区分別に設定されている。
  (1)疾病による高度障害・死亡…300万円
  (2)疾病・傷害による入院給付金等…60万円
  (3)傷害による高度障害・死亡…600万円
  (4)損害保険…1,000万円など
  上限は保険契約ごとにではなく、一人の被保険者について複数保険契約を通算した金額で上限が規制されている。
  保険種類区分ごとの上限とは別に被保険者ごとに引き受けるすべての保険契約に係る保険金額の合計額は、1,000万円を超えてはならない。ただし、特に保険事故の発生率の低い保険の保険金額をこの上限に含めないことも検討されるという。
  同時に一人の保険契約者についてのすべての保険契約にかかわる引受保険金額の上限も原則1,000万円とするが、団体性のある保険契約は特例を検討する。
●  セーフティネットも保険会社並みに
  保険金額の上限については、既存業者には経過措置が設けられており、施行日から7年間、上限を超えた超過部分を再保険に出すことによって、上述の上限の5倍程度まで引受を継続できる予定である。
  年間収入保険料(収入保険料から再保険料を控除した正味の収入保険料)の上限は、50億円未満とする。
  少額短期保険業者の最低資本金は、1,000万円である。供託金の額も1000万円とするが、保険料収入の増加に応じて正味保険料収入の5%程度の額になるよう積み増しが求められる。
  ディスクロージャーについては保険会社並みとし、特に資本金等の額が3億円以上の少額短期保険業者については、外部監査を義務付ける。
出所:金融庁「保険業法施行令・保険業法施行規則等の改正案の骨子」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.08.29
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