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初任給凍結企業が4年連続で8割超える―経団連「初任給調査結果」
●  新入社員の初任給の推移
  社団法人日本経済団体連合会は、このほど2005年4月の新入社員初任給額について、その実態や動向を調査した「新規学卒者決定初任給調査結果」を発表した。
  それによると、ここ数年ほとんどの企業で初任給が据え置かれており、今年もその傾向が続いていることがわかった。
  90年代前半は、初任給は毎年必ず引き上げられてきた。それが90年代半ばから約3分の1の企業が初任給を据え置き、90年代後半には約6割の企業が据え置くに至った。1997年には山一證券など大型破たんが相次ぎ、これらが1999年から初任給据え置き大幅増に大きく影響している。2000年以降ではさらに拍車がかかり、9割の企業が初任給の上昇を凍結し(図表1)、毎年初任給が上がっていくことはなくなったのである。
【図表1 初任給凍結企業の割合】
【図表1 初任給凍結企業の割合】
●  初任給上昇凍結の理由が変化
  90年代の初任給据え置きは、業績の悪化と低迷が主な理由であったが、2000年以降はその理由が異なってきた。図表2のグラフは、同じく日本経団連調査による今後の賃金決定のあり方を企業にたずねたものである。それによると、ベースアップを行う企業は全体の1割しかない。昇給は定期昇給のみであり、さらに業績連動型賞与によって年収が上乗せされる方式に切り替わりつつある。ベースアップが過去のものになった以上、初任給が上がらないのも当然である。
【図表2 今後の望ましい賃金決定のあり方】
【図表2 今後の望ましい賃金決定のあり方】
●  大学卒と大学院卒の初任給の格差は2万円
  今年の初任給の平均額を学歴別にみると(図表3)、大学院卒事務系で221,824円、大学院技術系で222,957円、大卒事務系で203,230円、大卒技術系で204,559円となっている。また、それぞれの金額やその格差は固定している。大学卒と大学院卒では初任給で約2万円の差がつけられ、技術系は事務系と比べて大学卒、大学院卒とも1,000円強高い。
【図表3 学歴別初任給推移】
【図表3 学歴別初任給推移】
●  企業規模別にみた初任給のレベル
  企業の規模別に初任給を比較したものが図表4のグラフである(2001年はデータ不明)。
  企業規模と初任給の関係はあまりはっきりしないが、企業規模が小さいほど初任給はやや高めに見える。
【図表4 企業規模別初任給額】
【図表4 企業規模別初任給額】
出所:(社)日本経済団体連合会「新規学卒者決定初任給調査結果」(※1998〜2005年度の調査を集計)
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.09.12
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