> 今週のトピックス > No.1100 |
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義援金、寄付金の税務 |
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![]() ● 控除の対象となる寄付の種類
ここ2、3年、地震や津波、台風、水害など自然災害続きである。被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。こういった災害報道をテレビなどで見て、義援金(寄付金)を申し出た方も多かったのではないであろうか。今回は義援金=寄付金をした場合の税務についてまとめてみたい。
税法では寄付行為を奨励する観点から、寄付金に対して税金を一部免除する特例を設けている。しかし、寄付金ならなんでもいいということになると脱税の温床になるので、寄付金控除の対象となる特定寄付金を以下のように限定列挙している。 ![]() (1)国や地方公共団体に対する寄付金
(2)公益法人等に対する寄付金で財務大臣が指定したもの (3)日本赤十字社、日本育英会、国際交流基金など特定の公益法人に対する寄付金 (4)民法の規定によって設立された法人のうち一定のものに対する寄付金 (5)学校法人や社会福祉法人に対する寄付金 (6)公益の増進に著しく寄与する特定公益信託の信託財産とするための寄付金 (7)政治活動に関する寄付金で一定のもの ![]() なお、上記に該当しない私立学校や特定の個人、任意団体などへの寄付は、寄付金控除の対象とならない。さらに、学校の入学に関してする寄付金や政治資金規正法に違反するもの、寄付した者に特別の利益が及ぶと認められるものも対象とならない。
![]() ● 寄付金控除の計算方法
寄付金控除は、扶養控除などと同じくその年の所得金額から控除する形で税の恩典を受けることになる。
控除額は、「次のいずれか低いほうの金額 ― 1万円」となっている。 ![]() イ)その年に支払った特定寄付金の合計額
ロ)その年の総所得金額等の25%相当額 ![]() つまり、1万円以下の寄付金であると寄付金控除は受けられない仕組みである。ちなみにこれは年間の合計で考えればよい。
寄付金控除を受けるためには、寄付を証明する書類(領収書など)を確定申告書に添付するか、申告書提出時に税務署に提示する必要がある。 なお、政治活動に関する寄付金で一定のものについては、所得控除に代えて税額控除を選ぶこともできるのであわせて押さえておきたい。 ![]() ● 経営者にとっての寄付金
会社が行った寄付は一定限度まで会社の費用として認められるが、経営陣の出身校などに会社が寄付したような場合は、経営陣個人が負担すべきものとして、役員賞与とみなされる場合がある。役員賞与は、税務上はダブルパンチとなり、個人と法人それぞれで税金を払わないといけなくなる。
こういった場合には、会社で負担して寄付するのではなく、経営陣自らが個人で寄付をし、寄付金控除を受けたほうがよいだろう。 ![]() (今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
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2005.09.12 |
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