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日本の株式市場を活性化させている外国人投資家
●  存在感増す外国人投資家
  日本の株式市場は、日経平均株価が年初来最高値となる12,600円を9月2日に突破するなど明るいニュースが流れている。この日本株式市場に活況をもたらしている主役の一人が、外国人投資家である。そこで今回は、その外国人投資家について考えてみる。
1.外国人投資家とは
  外国人投資家とは、「日本の国籍をもたない投資家」のことである。外国人投資家と言われれば、外国人の個人投資家のことを想像しがちだが、実態としては投資金額からみても法人が主役と言える。具体的に言えば、外国の機関投資家(銀行、保険会社等)などがその代表例である。また資金の性質は、年金マネーや投資信託の資金などと様々である。
  ヘッジファンドのなども外国人投資家に分類され、最近はそれらのマネーが日本株式市場に流入していることも日本株式相場を押し上げる一つの要因となっている。
2.外国人投資家の地域別区分
  一言で外国人投資家といってもその地域は様々である。そこで、外国人投資家の売買金額の合計額を地域別に一覧表にしたのが下の図表である。
【図表 全国証券取引所 外国人投資家売買状況(単位:億円)】
地域 05年6月 05年7月
買越し額 売買額合計額(構成比) 買越し額 売買額合計額(構成比)
北米 2,695 51,652(約27%) 4,680 51,394(約29%)
欧州 ▲3,491 90,832(約47%) 5,329 79,738(約45%)
アジア 907 47,179(約25%) 1,286 44,132(約25%)
その他 171 1,976(約1%) 380 2,287(約1%)
合計 282 191,640(100%) 11,676 177,552(100%)
  (出典:東京証券取引所)
  この図表では、「北米の外国人投資家の積極的な日本買い」ということと「7月の大幅な買い越し」の2点が注目すべきポイントといえる。特に、7月の買越し額は、合計で1兆円を超えており、日経平気株価が12,000円を突破する大きな要因の一つとなったといえる。
3.外国人投資家が日本へ投資する代表的な理由
  では、なぜ外国人投資家は日本へ投資するのであろうか。その代表的な理由としては、次のような場合が考えられる。
  1. 日本の株式市場に投資することで純粋に値上がり益を期待している場合(積極的な購入理由)。
  2. 外国人投資家が北米・欧州の株式市場に投資する際に、分散投資の観点から、あわせて日本株式市場へ投資する場合(消極的な理由)。
  3. 投資対象の市場は特にこだわりがある訳ではないが、北米・欧州・日本市場の3市場のうちでは、最近安定している日本株を購入する場合(どちらかといえば消去法的購入)。
●外国人投資家の動向に今後も注視を
  あくまで個人的な感想であるが、最近の外国人投資が日本株を購入している理由は、デフレの出口が見えるまでに回復してきた国内景気の力強さが主要因であり、その意味では(i)ではないかと思われる。
  投機的要素が強く足が速い(短気的な保有)と言われる外国人投資家であるが、購入理由が仮に(i)であった場合には、長期的保有の可能性も否定できない。
  いずれにせよ外国人投資家が、当面は日本の株式市場に大きな影響を与えていく可能性は高く、今後日本株へ投資する場合には、この外国人投資家の動向をしっかりウォッチしておくべきであろう。
  当記事は、あくまで筆者の見解や予想、考え方をご紹介したものであり、個別商品の売買の推奨を意図したものではありません。
2005.09.12
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