>  今週のトピックス >  No.1103
こくみん共済改訂と全労済の動き
●  「こくみん共済」は6タイプから8タイプへ
  全労済の主力商品である「こくみん共済」の商品ラインナップが2005年10月から拡大する。2004年1月に小規模な商品改訂があったが、今回は6タイプある商品に新たに2タイプを追加する大幅な改訂となる。
  これまでは、こども向けのキッズタイプ、医療保障を重視した医療タイプ、死亡保障を重視した総合タイプとその拡大版の総合2倍タイプ、高齢者向けのシニア総合タイプとシニア医療タイプであった。
  今回追加された大型タイプは、総合タイプの掛金と給付額をおおむね3倍にした内容。死亡保障は1,200万円(交通事故死亡は3,000万円)とついに1,000万円の大台に乗った。
  もう一つの新型タイプである医療終身タイプは、64歳までに加入すれば終身の医療保障が得られる。他のタイプに付加することで加入できる。
●  民間生保との類似性強まる
  共済商品として画期的なのは、医療終身タイプは年齢別・男女別の掛金となり、生命保険と同じになったことである。JAを除く共済は、死亡保障、医療保障においても性年齢にかかわらず同一掛金であったが、ついに保険と同様となった。
  既存のタイプにおける改訂点は、医療タイプにおいて日帰り入院も保障されるようになった点、総合タイプ、2倍タイプ、シニア総合タイプにおいて保障年齢が85歳まで延長された点である。
  このように民間生保などとの競合に対応して、高齢者への保障および医療保障は一段と充実させたのが改訂の特徴といえる。
  全労済は主力商品である「こくみん共済」の強化を図る一方で、販売チャネルの拡充にも努めており、コンビニでの申込書配付や初回掛金の取り扱いを広げている。ファミリーマート、ローソンなどセブンイレブンを除くほとんどのコンビニが対応している。
●  労働福祉事業の中核へ
  また経営面では、2004年に自治労の生命共済からの契約移転を受けて、労働者共済事業の核としての位置づけが一層、明確になった。
  この契約移転等により、2004年度(2004年6月から2005年5月)の掛金収入は、前年度比180%の9,646億円、総資産も2005年5月末で前年比26%増の5,272億円と財務基盤は強化された。
  ただ、全労済の存立基盤である労働組合は組織率低下などで弱体化しており、脱労組が大きな課題であることには変わりはない。
出所:全労災ホームページ
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.09.20
前のページにもどる
ページトップへ