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固定資産税の優遇措置を活用するポイント
●  東京都が仏人学校に固定資産税5年分を追徴課税
  在日フランス人が通う仏国営学校「リセ・フランコ・ジャポネ」(東京・千代田)が日本で開校したのは1976年のことである。日本の固定資産税は、学校法人であれば免除となる。しかし、当時この仏人学校は法人化していなかった。課税主体である東京都は、法人化しないと課税対象となると伝えていたが、フランス大使館側が「学校法人化に向け本国と調整中」と回答していたため課税を見送ってきた。しかし、東京都からの再三の督促にもかかわらず法人化が進まないため、他との不公平感をこれ以上調整できないとして、東京都はついに課税に踏み切った。
  課税額は、過去5年分の固定資産税、約1億円である。
●  固定資産税の節税ポイント
  上記仏人学校の記事からもわかるように、固定資産税にも免除してくれる場合がある。また固定資産税には上記以外にも、いくつかの節税余地がある。
  1. 住宅用地は優遇されている
  2. 私道は非課税である
  3. 固定資産税は賦課(ふか)課税方式である
――以上3つが主なポイントである。
  これらの方法で固定資産税が安くなれば、最大過去5年間分納め過ぎていた固定資産税の還付が受けられるので押さえておきたい。
  固定資産税の計算方法は、一般的に課税標準額×1.4%(制限税率は2.1%)である。ここで課税標準額とは、原則市区町村役場の固定資産課税台帳に登録されている固定資産税評価額である。ただしこれには特例があり、住宅用地の場合にはその評価額が大幅に下がる。一般的な住宅用地の場合には、200uまでの部分について1/6の評価となる。それを超えた場合でも通常の評価の1/3でよい(家屋面積の10倍まで)。さらにアパートやマンション経営をされている方には、その1/6評価が世帯数×200uと拡張されるのである。
●  優遇措置を見逃してしまうケース
  住宅用地であるとこれだけ固定資産税が優遇されているのであるが、それを知ってか知らずしてか優遇措置を享受していない場合がある。
  例えば、アパート経営をされていて、そのアパートに付属の駐車場を設けているケースである。付属駐車場が分筆登記され別々の評価を受けている場合は、その駐車場については100%課税ということになる。しかしこの駐車場が専らそのアパートの住人が利用するものであれば、アパートと駐車場の敷地を一体で評価してくれるのである。そうすると、駐車場部分も最大1/6の評価となる。これは単純には駐車場部分の固定資産税が6倍違うことになる。
  また同じような理屈で、遊休地をアパートに変更すると固定資産税は安くなる。逆に遊休地に誰も使っていない母屋などが建っていてそれを壊した場合には、翌年の固定資産税が3倍(または6倍)に跳ね上がったというケースも出てくる。これらは、住宅用地である特例が適用されなくなったことによるものである。
  他にも、もともと事務所であったものを居住用に変更したような場合には、住宅用地としての特例を受けていないケースが多いので確認してほしい。
●  市区町村役場が計算して決める賦課課税方式
  また、固定資産税は賦課課税方式であるということも押さえておきたい。賦課課税とは、こちらが税額を計算するのではなくて、市区町村役場が計算して課税をしてくるということである。しかもこの評価は1度されたら、こちらが何か言わない限り変更されることはほとんどない。ということは、最初に間違った評価をされたらずっとそのままということ。また途中で用途変更をしても、市区町村役場が気づいていないというケースもよくある。
  そこで、固定資産課税台帳の縦覧期間が例えば4月1日〜30日(地域や年によって異なる)とすると、その期間に自分が所有する固定資産の価格を縦覧してみてほしい。ここで価格に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に対して審査の申し出をすることも可能だ。特に隣地との評価に整合性があるのかなどはぜひ確認しておきたい。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.09.20
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