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「30万円未満即時償却制度」の活用法
●  来年3月31日まで適用可能
  原則会社が10万円以上の資産を購入すれば、支出額の全額が経費とはならず、「減価償却」という形で耐用年数に応じて費用化していくことになる。しかしこれには例外がある。その1つが、30万円未満即時償却制度である。
  これは、平成15年度の税制改正により創設された制度で、今のところ来年平成18年3月31日で廃止予定の制度でもある。この制度では、青色申告書を提出する資本金1億円以下等の一定の要件を満たす中小企業者等については、取得価額が30万円未満であれば即時に経費処理が可能という内容である。この制度を使えばほとんどのパソコンやプリンターなどが購入年度で全額経費処理できるであろう。
  この30万円未満即時償却制度に該当すると節税効果は非常に高いといえるのだが、誰にでも適用できるわけではない。適用対象者としては、青色申告書を提出する資本金1億円以下等の一定の要件を満たす中小企業者等となっている。詳しく見ていくと、まず青色申告者でないといけない。つまり白色申告者は適用対象外ということだ。さらに資本金1億円以下の中小企業者等となっているが、これには個人事業者も含まれるが従業員数1,000人以下となっている。
●  対象となる減価償却資産
  さらに適用対象となる減価償却資産には、新品・中古を問わないということになっているので、中古パソコンなども該当する。そして30万円未満の減価償却資産となっているので、パソコンやサーバーなどIT系の投資に限らない。例えば、中古の車などでも30万円未満という要件さえ満たせば全額経費処理が可能ということである。
  では、ソフトウェアなどはどうなるのか。ソフトウェアに関しては、以前までは繰延資産という分類にされていたが、平成12年4月1日より無形固定資産として取り扱われることになった。そのため、ソフトウェアについても減価償却資産の範囲に含まれることとなり、30万円未満即時償却制度の対象ということになる。
●  「30万円未満」の条件適用の実際
  30万円未満に該当するかどうかのラインはどうか。30万円未満ということは30万円では該当しないことになる。では、税込304,500円(税抜価格290,000円)のパソコンを購入した場合にはどうなるのか。これはその会社の経理処理にしたがって、30万円未満であるかどうかを判定することになる。その会社が「税込経理」をしているのであれば304,500円≧300,000円となり30万円未満即時償却には該当しない。逆に「税抜経理」をしているのであれば、290,000円<300,000円となり該当することになる。
  さらには、ハイエンドのパソコンで30万円を超えそうだからと、画面と本体を別々に計上して30万円未満とすることが考えられるが、これは原則ダメである。30万円未満に該当するかどうかというのは、通常1単位として機能するかどうかで判断されるため、注意しておいてほしい。
  なお、この特例の適用を受けるためには、決算時の法人税の確定申告書の別表十六(二)「定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書」の備考欄にこの規定を適用する旨、記載しなければならない。
  最後に、30万円未満の即時償却制度に該当しても、償却資産税の対象にはなるので覚えていておいてほしい。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.09.26
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