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「四半期開示」定着へ
〜上場企業の9割以上が3カ月ごとに業績を開示〜
●  上場企業の92%が「四半期開示」
  国内企業が3カ月ごとに業績を開示する「四半期開示」が定着に向かっている。
  3月期決算企業のなかで2005年4−6月期に四半期開示を実施した企業は1,601社と上場企業の92%に上ったことが東京証券取引所の調査で判明した。前回の四半期(2004年4−12月期)開示に比べて4ポイント向上している。
●  連結業績と個別業績の双方開示は少数にとどまる
  四半期開示は2004年4−6月期から全国の証券取引所が本格導入した。ただ2007年3月期までは売上高だけを開示項目としてもよいという経過措置を設けている。
  今回の調査は東証一部、二部に上場する1,741社が対象。その中で経過措置を受けた企業は140社と全体の8%にとどまった。9割を超えるほとんどの企業が売上高だけでなく各段階の利益や貸借対照表、損益計算書を開示したことになる。
  開示する情報は連結業績が義務付けられ、個別業績は任意とされている。そのため、連結と個別の双方を開示した企業は266社とまだ少数で、ほとんどの企業は連結のみの開示にとどまっている。四半期開示を実施した1,601社のうち平均開示所要日数は33.9日と前回比1.4日の短縮となった。できるだけ早く開示しようという意識が企業側に浸透しつつあることを裏付ける数字だといえよう。
●  証券取引法改正で四半期開示法制化も視野に
  四半期開示はあくまで証券取引所の自主ルールで、罰則などの規定はない。そのため迅速な開示や実務負担の軽減の観点から、投資家の投資判断を大きく誤らせないと考えられる範囲内で一部簡便な方法を採用することができる。実際7割以上にあたる1,142社は会計処理の方法に一部簡便な方法を採用している。
  しかし、こうした状況が一変する可能性が浮上してきた。金融庁は早ければ来年の通常国会に証券取引法の改正案を提出し、上場企業の決算報告を年2回から年4回に増やすことを検討しているのだ。証券取引法で開示が義務付けられると、ウソの数字を公表した時刑事罰が科される。簡便な方法は採れなくなり、監査が必要になるため企業の負担が増大する。
  そのためこうした動きに産業界は抵抗しているが、会計の透明性の確保に向け、四半期決算の法制化が世界の趨勢だ。金融庁は難しい判断を迫られている。
2005.09.26
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