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3割超の企業が派遣労働者を活用
〜厚生労働省が派遣労働の実態を調査〜
●  男性派遣は常用型、女性派遣は登録型が多数
  厚生労働省はこのほど、2004年9月に調査した派遣労働者の就業実態調査の結果を発表した。それによると、労働者派遣は一段と広がりをみせており、派遣労働者が就業している事業所は、調査事業所全体の31.5%に及ぶことがわかった。
  調査日時点において派遣先で就業している派遣労働者は、約95万人。その約4割が男性、6割が女性である。派遣先業種としては、男性は製造業と運輸業が多く、女性は金融・保険業、医療・福祉などが多い。
  派遣労働者の年齢層は、男性全体の35.0%、女性全体の35.8%を20歳代が占めている。30歳代は男性の30.6%、女性の41.9%で、全体の平均年齢は男性で37.0歳、女性で33.9歳となっている。
  派遣方法は、登録型と常用雇用型に分かれる。登録型は、派遣会社が派遣労働を希望する労働者を登録しておき、労働者を派遣する際に登録されている者の中から期間を定めて雇用し派遣を行う形態をいう。それに対し常用雇用型は、派遣元に常用労働者として雇用されている。男性では登録型が37.7%に対して常用雇用型が62.3%となっている一方、女性は登録型が75.8%、常用雇用型は24.2%と、登録型が大部分を占めている。
●  女性の派遣通算期間は長いが、派遣先は変わりやすく不安定
  派遣労働者としての就業状況についてみると、まず、派遣労働の通算期間は、男性が1年未満が35.3%、1年以上3年未満が30.0%、3年以上が34.6%となっている。
  一方、女性は1年未満が25.6%、1年以上3年未満が32.3%、3年以上が42.9%となっており、女性の派遣労働期間が長いことが分かる。
  それを反映してこれまでの派遣されてきた派遣先数をみると、男性では1カ所(今の派遣先のみ)が59.2%であるのに対して女性は50.8%。逆に4カ所以上となると男性では10.8%と少数であるのに対し女性は15.4%と高い数字だ。
  女性は登録型派遣が多く、人材派遣会社から派遣され、派遣されている間のみ給与が出る形態で、比較的短期間で派遣先が変わりやすい。その意味では不安定な状態だといえるのではないか。一方、男性はコンピュータ会社などの派遣元から派遣され、安定的な雇用状況の元で就業していることが想像できる。
  それを裏付けるものが、派遣先での業務内容であり、男性が製造業務、機械設計業務、ソフト開発業務が多いのに対し、女性は一般事務、事務用機器操作、ファイリングの順となっている。
●  賃金改善、継続雇用が希望事項のトップ
  派遣労働者の就業上の要望事項についても回答があり、派遣元への要望としては、(1)賃金の改善、(2)継続的な仕事の確保、(3)福利厚生の充実、(4)苦情・要望への迅速な対処、(5)有給休暇の取りやすい環境、(6)教育・訓練の充実――の順になっている。
  一方、派遣先への要望事項としては、(1)正社員としての雇用、(2)指揮命令系統の明確化、(3)派遣期間の長期化、(4)有給休暇の取りやすい環境、(5)派遣契約外の業務を命じない――の順となっている。
出所:厚生労働省「派遣労働者実態調査結果の概況(平成16年9月調査)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.10.03
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