> 今週のトピックス > No.1116 |
![]() |
中小企業に有利な「人材投資促進税制」の活用を(その1) | |||||||||||||||
![]() |
![]() |
|||||||||||||||
![]() |
![]() ● 大幅減税が講じられた平成17年度の税制改正
首相の諮問機関・政府税制調査会(石会長)が6月に発表した「個人所得課税に関する論点整理」の影響もあって、最近新聞報道などを見ていると増税一色に感じる。「サラリーマン増税」「消費税15%」などという言葉が勝手に独り歩きしている感もある。
しかし、実は平成17年度税制改正で今までにない大幅な減税策が実施されているのをご存知だろうか。例えば、以前解説した「IT投資促進税制」(本欄「今週のトピックス」No.1072参照)は、企業のIT資産への投資を促進する観点から創設されたものであるが、今回紹介するのはその人材投資版ともいえる「人材投資促進税制」である(本欄「今週のトピックス」No.1074でも既報)。 これは、日本の国際競争力の基盤となる人材を育成することを目的に作られた制度で、企業が人材への投資(教育訓練)を行えば、その費用の一定額を「税額控除」してくれる制度になっている。教育訓練費として支払ったものが経費になるのは当然ながら、それにプラスして「税額控除」してくれるというもので、制度の内容を見ていくと中小企業により有利な制度になっている。例えば、外部講師を招いての研修なども対象となるほか、従業員が業務に必要な資格を取得する費用なども対象となっている。 ![]() ● 個人事業者も適用の対象に
「人材投資促進税制」の詳細を見ていくと、まず対象となる事業者は、「青色申告書を提出する事業者」となっている。つまり、法人企業はもちろんのこと、個人事業主も対象となるのでこの点は押さえておきたい。
適用期間は、「平成17年4月1日から平成20年3月31日までの間に開始する事業年度」に適用される。例えば3月決算法人はすでに対象となっているが、12月決算法人であればまだ対象期間外ということになる。しかし、対象事業年度以前の事業年度も「税額控除額」に影響してくるので、「対象期間外だから関係ない」とは言えない(詳細は次週)。また、設立事業年度は前期以前がないため対象外となるが、これも次週で紹介する計算式を見ていただければご理解頂けるであろう。 ![]() ● 5つの「教育訓練費」
減税の対象となる「教育訓練費」の内容は、以下の5つにまとめられる。
![]()
![]() つまり、「人材投資促進税制」の対象となる費用は、その会社の使用人の職務に必要な技術または知識を習得させまたは向上させるために支出する費用(教育訓練費)で、減価償却費や従業員に支払った給与・交通費を除いたものということになる。
![]() ● 社長は対象外
では、その教育訓練費の対象者は誰でもいいかというと、そうではない。例えば社長が自己投資のために高額のセミナーや右脳開発キットなどを購入しても、残念ながら「人材投資促進税制」の対象とはならない。対象者は、「その法人又は個人事業の使用人」に限られている。使用人とは、正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員などを指す。
社長を含めて対象外となる者は、概ね以下の通りである。 ![]()
![]() ![]() 次週(その2)では、具体的にどれくらいの節税効果があるのか解説していく。(続く)
![]() (今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
|
![]() |
![]() |
![]() |
2005.10.11 |
![]() |
|