> 今週のトピックス > No.1120 |
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中小企業に有利な「人材投資促進税制」の活用を(その2) | |||||||
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![]() 先週は「人材投資促進税制」の適用要件などについて解説したが、今週は具体的にどれくらい節税効果があるのかを見ていきたい。
![]() ● 法人住民税にも適用される中小企業の優遇策
では「具体的にどれくらい減税されるのか?」が知りたいところだが、原則は以下の通りとなっている。
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【原則】
増加額(今期の教育訓練費―基準額)×25% (注1)基準額:前2事業年度の教育訓練費の平均額 (注2)その事業年度の法人税額の10%が限度 ![]() さらに中小企業の場合は、以下の特例計算との有利選択ができることになっている。
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【中小企業等の特例】
教育訓練費の総額×税額控除率(0〜20%) (注1)税額控除率:増加率(増加額÷基準額)×1/2(最大20%) (注2)中小企業等とは、資本金が1億円以下の法人および個人事業主等 ![]() 加えて中小企業における優遇策として、上記税額控除が法人税のみならず法人住民税にも適用されるのである。
![]() ● 教育訓練費500万円が183万円に!?
例えば、中小企業であるA社の教育訓練費が以下の場合どれくらい減税になるのか試算してみよう。なお、当期の法人税額は1,200万円とする。
![]() 【教育訓練費の推移】
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(1)原則
@)基準額=(200万円+400万円)÷2=300万円 A)(500万円−300万円)×25%=50万円 (2)中小企業等の特例 @)税額控除率=(200万円÷300万円)×1/2=33%→20%(上限) A)500万円×20%=100万円 (3)有利選択 (1)50万円 < (2)100万円 ![]() 上記計算式を見るとこのケースの場合は(1)原則より(2)中小企業等の特例の方が有利なため、減税効果としては(2)の100万円となる。さらにA社は中小企業等であるため、法人住民税の減税もある(100万円×17%=17万円(概算)が別途税額控除されることになる)。このことからA社の場合、法人税100万円+法人住民税17万円=合計117万円の減税を享受できるということが分かる。さらに、教育訓練費として支払った当期分500万円は費用として計上できるので、実効税率を40%とすると、500万円×40%=200万円は実質的にキャッシュアウトしていないことになる。
これまでの計算式をまとめると、A社は当期500万円の教育訓練費を支払ったが、117万円の直接的な減税があり、さらにその教育訓練費が費用となることから200万円のキャッシュアウトしないお金が生まれることになる。その結果、実質的にA社が負担する教育訓練費は、500万円−117万円−200万円=183万円となる。 ![]() ● 「人材」を「人財」に変える投資
企業が負担すべき教育訓練費が「500万円から183万円に変わる」ということはその節税効果は高いといえよう。「人材」を「人財」に変えるために企業が投資を行うことを、税制も後押ししているといえるのではないだろうか。
ただし、この制度の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その計算に関する明細書を添付して申告する必要があるので覚えておいてほしい。 増税色が高まる中、企業にとって貴重な減税策である「人材投資促進税制」について2週にわたって解説してきた。企業経営の一助になれば幸いである。 ![]() (今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
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2005.10.17 |
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