>  今週のトピックス >  No.1128
平成16事務年度における国税庁の目標と実績評価
●  実績目標と業績目標
  国税庁は、平成16年7月1日から平成17年6月30日を対象として実施した「平成16事務年度国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価に関する実施計画」を公表した。
  国税庁が達成すべき目標については、「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収」、「酒類業の健全な発達の促進」、「税理士業務の適正な運営の確保」という3つの実績目標を掲げ、その下に業績目標を11設定している。
【国税庁における実績の評価の目標】
実績目標1 内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収
●納税環境の整備
業績目標1-1-1 租税の役割、納税意識の重要性や税務行政について、広く国民各層から理解・協力を求めます。
また、国民の意見・要望等を聴取し事務の改善に努めます。
業績目標1-1-2 納税者の視点に立った適切な情報の提供に努めます。また、問い合わせや相談に対して迅速かつ的確な対応に努めます。
業績目標1-1-3 申告・納税の際の納税者の負担を軽減し、納税者満足度を高めます。特に、電子申告等ITを活用した申告・納税の推進に努めます。
●適正かつ公平な税務行政の推進
業績目標1-2-1 税務行政の執行に当たっては、法令を適正に適用し、納税者の理解が得られるよう努めます。
業績目標1-2-2 適正申告の実現に努めるとともに、申告が適正でないと認められる納税者に対しては的確な調査・指導を実施することにより誤りを是正します。
業績目標1-2-3 期限内収納の実現に努めるとともに、期限内に納付を行わない納税者に対して滞納処分を執行するなどにより徴収します。
業績目標1-2-4 納税者の正当な権利利益の救済を図るため、不服申立て等に適正・迅速に対応します。
業績目標1-2-5 各国の税務当局と協調を図るなど国際化時代に対応した税務行政に努めます。
実績目標2 酒類業の健全な発達の促進
業績目標2-1 酒類の製造及び販売業免許について、酒税法その他関係法令を適正に適用し迅速な処理に努めます。
業績目標2-2 酒類業者の経営改善等を支援するとともに、消費者利益の観点から、酒類の品質・安全性の確保に努めます。
業績目標2-3 未成年者飲酒防止等の社会的要請、酒類業界を取り巻く環境の変化に対応した行政を推進します。
実績目標3 税理士業務の適正な運営の確保
●  キッズページや租税教室などの啓蒙活動に評価
  前述の目標の中で、特に業績目標1-1-1「租税教育に関する評価」についての実績を見てみよう。まず、「租税教育に関する評価」については目標値85%程度であったのに対して、実績値は94.2%と目標値を大幅に上回っている。これは、ホームページに「税の学習コーナー(キッズページ)」を新設したほか、租税教室への講師派遣や教育関係者に対する租税教育の啓発運動に取り組んだ結果であるとしている。
  実際のところホームページのアクセス件数は倍増しており、また租税教室の開催件数も平成12年度11,234回、13年度11,833回、14年度12,002回、15年度13,182回、16年度13,550回と増加し続けている。
●  租税教育を義務教育へ
  国税庁は租税の普及活動の一環として、高校生を対象とした「税に関する高校生の作文」の募集や、中学生を対象とした「税についての作文」の後援(全国納税貯蓄組合連合会主催)を行っており、高校生約14万編、中学生約42万編の応募があった。実は、筆者も中学生3年生のころ、この「税についての作文」に応募して佳作を取ったことがある。この賞状は、学生時代に多分唯一取った賞状でもあるため、わたしの事務所の机の横に今でも飾っている。
  税金の教育や普及活動というのは、非常に大切なものである。なぜなら、税金が国の姿を決めている部分が多分にあるからだ。現在の日本は少子高齢化を迎え、あらゆる場面で変革・創造を求められている。
  税制に限っていうと、競争本位の米国型でいくのか、それとも老後を安心できる北欧型でいくのか。どちらかを選択した場合、国民負担率はどのあたりが日本人として納得、妥当なものなのか。まさに、今後ますます税金論議を国民全体で行っていくべき時が来ているのである。そのときに最も大事なのが、「租税教育」だ。
  筆者のスローガンの1つとして「租税教育を義務教育へ」を挙げている。今後さらなる租税教育の普及活動に期待し、わたし自身もその活動に貢献していきたいと考えている。
出所:国税庁「国税庁における実績の評価の目標」
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.10.31
前のページにもどる
ページトップへ