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一般職から総合職へ
〜コース別雇用管理制度の導入状況〜
●  転勤の有無はコース区分の必須要件
  企業においては雇用均等法の施行やその改正法、さらには従業員の就労に対する意識の多様化を受け、コース別雇用管理制度の導入が進んでいる。厚生労働省は、昨年に続きすでにコース別雇用管理を実施している企業180社に対して、その実態の聞き取り調査を行った。
  まず、企業に設けられているコースを形態別に見てみると、総合職は全社に設けられているものの、一般職を設けている企業は92.8%(平成15年度調査88.6%)、専門職を設けている企業は20.0%(同23.7%)、現業職を設けている企業は18.3%(同22.5%)、中間職を設けている企業は9.4%(同19.5%)、準総合職を設けている企業は8.3%(同7.2%)であった。
  また、コースの導入状況は「総合職+一般職」が53.3%(同44.9%)、「総合職+一般職+準総合職、中間職」が7.2%(同8.9%)、「総合職+一般職+専門職、現業職」が23.9%(同26.3%)などとなっている。
  コース決定の時期は「募集・採用時に決定する」とする企業が85.6%と圧倒的に多いものの、前年度の92.8%からは減少している。決定方法は「本人にコースを選択させている」企業が72.1%、「本人の意向を踏まえ会社がコースを決めている」企業が11.0%、「会社が第一義的にコースを決めている」とする企業が13.6%であった。
  なお、転勤の有無をコース区分の要件としている企業は88.3%で、そのほとんどとなっている。
●  転換時に必要な3要件
  コース転換制度を「導入している」企業は82.2%であり、前年度の76.7%から増加している。そのうち、総合職と一般職の間のコース転換制度を見てみると「総合職、一般職の双方への転換制度がある」企業は67.2%(平成15年度調査では54.4%)、「一般職から総合職への転換のみ」企業は22.6%(同28.7%)、「総合職、一般職間の転換制度がない」企業は、5.1%(同14.6%)となっている。前年度と比較すると、ほとんどの企業が転換制度を持ち、さらに双方への転換制度が整備されつつあることがわかる。
  一般職から総合職への転換制度において、転換時に必要な要件がある企業は87.8%で、このうち「上司の推薦」が要件である企業が75.9%(同75.6%)、「客観的条件」が必要なのは64.8%、「試験」が必要な企業は67.6%(同66.9%)となっている。
  これらの要件の組み合わせでは「客観的条件と上司の推薦と試験」を組み合わせた企業が34.3%(同37.8%)と最も多く、「上司の推薦と試験」の企業が19.4%、「客観的条件と上司の推薦」が13.9%、「客観的条件と試験」がいずれも11.1%となっている。
  この調査は、コース別管理を実施している企業のみを対象としたものである。今後は、コース別雇用管理の導入が、日本の企業全体でどの程度進んでいるのか、その調査結果が待たれる。
総合職 ・・・ 基幹的業務または企画立案、対外折衝など総合的な判断を要する業務に従事し、転居を伴う転勤がある
一般職 ・・・ 主に定型的業務に従事し、転居を伴う転勤がない
準総合職 ・・・ 総合職に準ずる業務に従事し、一定地域エリア内のみの転勤がある
中間職 ・・・ 総合職に準ずる業務に従事するが、転居を伴う転勤がない
専門職 ・・・ 特殊な分野の業務において専門的業務に従事する
現業職 ・・・ 技能分野の業務に従事する
出所:厚生労働省「平成16年度コース別雇用管理制度の実施・指導等状況」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.11.07
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