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少子・高齢社会を見据えた「税を考える週間」
●  税を「知る」から「考える」へ
  今年も11月11日(金)から17日(木)まで、「税を考える週間」が始まる。国税庁はこの間、普段なじみの薄いと思われる税金についてインターネットやイベントなどを通じて、各種の広報活動を行っていく。
  特に今年は「税を考える週間」の副題として「少子・高齢社会と税」が掲げられ、今後の社会環境とも結びつけて税を論じているのが特徴だ。そのほかにも「消費税法の改正」や「国税電子申告・納税システム(e-Tax)」を重点的に広報していくようだ。
  そんな税を考える週間であるが、その歴史は案外古い。前身は、昭和29年に設けられた「納税者の声を聞く月間」になる。そして昭和31年には月間が「納税者の声を聞く旬間」に変わり、その後約20年間継続した。
  しかし、
  (1)申告納税制度がようやく定着する段階に移りつつあること
  (2)税務相談体制の整備に伴いその活用度も高まりつつあること
  などを踏まえて全般的な見直しを行うこととし、民間のさまざまな意見なども参考にした上で昭和49年に「税を知る週間」に改称した。そしてこの年から、毎年同じ時期(11月11日〜17日)に行うことになった。
  そして、さらにその約30年後の平成16年には、「税を知る週間」から「税を考える週間」に名称変更が行われた。これは、これまでのどちらかというと受身的な税を知るということから、納税者の方にもっと能動的になってもらいたいという意味をこめて「税を知る」から「税を考える」に変更されたものだ。
●  少子・高齢社会≠増税
  今年の「税を考える週間」のメインテーマにもなっている「少子高齢社会と税」に関しては、国税庁ホームページ上にその説明や図解なども掲載しており、より重点的に広報活動を行っている。
  その内容を見ていくと、「税は、私たちが健康で豊かな生活をするために、国や地方公共団体が行う活動の財源であり、私たちが社会で生活するための、いわば「会費」であるといえます。その「会費」で支えられている私たちの社会には、今どのような変化が生じているのでしょうか。また、その変化は私たちの暮らしにどのような影響を及ぼすのでしょうか」という問い掛けで始まっている。
  そして、今後の人口減少の推移とそれに伴って今世紀半ばには国民の3人に1人が65歳以上の高齢者になるという試算を示している。
  また国家の財政面においては、過大な借金の存在や現状の国の歳出の多くが社会保障関係費であることも明らかにしている。
  そして最後には、「このような、少子・高齢化をはじめとする経済社会の構造変化に対応するためには、私たち一人ひとりが税の果たす役割を理解し、公的サービスと負担をどのように選択するかを含めて、税について真剣に考えていく必要があります」と結んでいる。
  筆者個人としては、単に少子・高齢社会になるから増税が必要だという考えには賛成しがたい。まずは少子・高齢社会に見合う公共サービス・政府の大きさにするべきだと思う。
  また、先進国でトップランナーとなる日本の高齢社会が、明るい展望となるようなビジョンを政治家の方には示してほしい。長生きすると不幸になるでは、なんともやり切れない思いがするのは筆者だけであろうか。
参考:国税庁「税を考える週間」
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.11.07
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