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世帯間の金融資産格差が拡大
●  金融資産保有世帯の貯蓄は前年比大幅増
  金融広報中央委員会から、平成17年の家計の金融資産状況や金融行動・意識に関する調査の結果が発表になった。
  まず世帯の金融資産の保有額は、金融資産を保有していない世帯を除く平均で1,544万円となり、景気回復や株式市場の活況を反映してか前年調査の1,398万円から大幅に増加している。なお、金融資産を保有していない世帯を含む平均は1,085万円(前年は1,022万円)である。金融資産を保有していない世帯の割合は、前々年の21.8%から前年の22.9%、今年の23.8%と年々増加し、世帯間の金融資産格差が拡大している。
  保有している金融資産の種別内訳は、民間の「預貯金」が39.7%。前年は41.5%、前々年は42.5%であることから、年々その割合は減少している。「保険(簡保、損保、個人年金を含む)」が24.7%(前年26.4%、前々年24.4%)、「郵便貯金」が18.4%(前年18.6%、前々年19.9%)と、毎年低下している。「有価証券(債券、株式、投信)」が12.4%で、前年の9.4%から大きく割合が高まっている。
  取引先金融機関を選択する理由としては、「近所に店舗やATMがある」とする回答が前年の76.7%から75.2%へ減少。一方、「金融機関の経営が健全で信用できる」が28.6%から32.2%へ増加している。また「店舗網が全国展開されている」が24.6%から22.5%と少なくなっており、利便性よりも健全性が重視される結果となった。
●  金融商品選択基準は安全性が第一
  金融商品選択の際に最も重視することは、「元本が保証されている」「取扱金融機関が信用できて安心」などの安全性を重視するのが48.3%(前年は51.1%)、「少額でも出し入れできる」「現金に換えやすい」などの流動性を重視するのが27.4%(同27.7%)、「利回りが良い」「値上がりが期待できる」などの収益性を重視するのが14.7%(同13.9%)となっている。
  また、保有している金融資産を守るために預貯金残高が1,000万円超の世帯の7割超が何らかのアクションを起こしている。その方法として、「預け入れ先を分散した」が53.1%、「より健全な金融機関に預け替えた」が22.2%、「金融商品の安全性に関して情報を収集した」が18.2%などとなっており(複数回答)、金融機関間での金融資産の移動がかなり行われたことがうかがえる。
  金融商品の選択に関する自己責任に関する意識についても、金融資産1,000万円超の世帯について調査している。外貨預金を除く預金に関しては、「自分で責任を持つのは当然である」が38.2%、外貨預金に関しては56.4%、株式は48.6%、公社債投信は31.7%などとなっており、自己責任意識は、まだまだ希薄であるといえるのではないだろうか。
出所:金融広報中央委員会「家計の金融資産に関する世論調査(平成17年)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.11.14
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