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就職氷河期に雪解けの兆しが・・・
●  就職内定率は2年連続で改善
  大学生の就職の氷河期も、温暖化を迎えているようだ。
  厚生労働省・文部科学省が共同で、来年3月大学、短大、高校等卒業予定者の10月1日時点での就職内定状況をとりまとめた結果を発表した。
  まず、卒業予定者数は4年制大学で55.5万人、短大で約10万人である。うち就職を希望している学生が4年制で約42万人、短大で8万人である。
  就職を希望している学生のうち、4年制大学の現時点の就職内定率は65.8%で、今年就職した学生の昨年10月時点の内定率61.3%を4.5ポイント上回っている。なお、一昨年が60.2%と近年最低であった。
  ただし、男女別にみると、男子は68.1%、女子が62.9%で、男子学生の方が高い内定率となっており、男女格差がみてとれる。しかも男子は、昨年比5.2ポイント内定率が上回った(一昨年61.1%、昨年62.9%)のに対し、女子は3.7ポイント(一昨年59.1%、昨年59.2%)の改善に留まっており、男女学生の内定率の差は逆に開いていることが分かる。
●  短大生の内定率は依然低調な推移
  一方、短期大学の就職内定率(女子学生のみ)は29.6%と前年を1.3ポイント下回っており、4年制に比べて内定率が低い。しかも一昨年が29.0%、昨年が30.9%と低水準の内定率が続いている。ただし、最終的な就職率は今年4月入社で89.0%あり、4年制女子の93.8%に比べても遜色がない。単に4年制に比べて内定が出る時期が遅いということではないだろうか。
  次に高校新卒者の状況を見てみると、内定者は8.7万人で内定率は44.0%と、昨年の同期を5.1ポイント上回っている。ただし、ここにもやはり男女差があり、男子は50.3%であるのに対して、女子は36.3%に留まっている。その上、昨年との内定率の改善度合いは男子が6.3ポイント、女子が3.2ポイントで、4年制同様内定率の差がさらに開く傾向にある。
  大学、高校とも共通に読み取ることができるのは、企業のリストラが一段落し、前向きな人材投資ができる環境になってきたとみられることである。しかしその中で、女子は男子に比べて内定率がやや低いことが気にかかる。
  これは補助的な業務は正社員を雇用することがなくなったこと、採用する場合でも優先順位が低いことなどが理由として考えられる。
出所:厚生労働省「平成17年度大学等卒業者就職状況調査(平成17年10月1日現在)について)」
「平成18年3月高校・中学新卒者の就職内定状況等(平成17年9月末現在)について」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.11.21
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