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年末調整は税金を戻してもらうためのアピール書類
●  今年の年末調整における改正点
  会社勤めの方は、12月ぐらいになると総務や経理の担当者から、「扶養控除申告書」と、「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」が配られてくることだろう。これは年末調整をするのに必要なために行われるものであるが、ここにきちんと自身が該当する控除項目を書かないと、余分な税金を払うことになってしまうので注意が必要だ。
  そこで、今年平成17年における年末調整の改正点から述べよう。改正点は2点ある。まず1点目は、年末までに国から送られてくる「国民年金保険料の控除証明書」を添付しないと、国民年金保険料の控除が受けられないことだ。
  昨年までは、「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」にいくらいくらの国民年金保険料を支払ったということを記入するだけで控除が受けられたのだが、不正税金還付等の問題もあって、今年からは「国民年金保険料の控除証明書」を添付しなければならないことになった。
  2点目は、老年者控除がなくなったことだ。老年者控除とは、年齢が65歳以上でその年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に、50万円の控除が与えられていたものである。これが今年から廃止されているので、該当する人は注意が必要だ。
●  フリーターの息子や失業中の父も扶養控除の対象に
  次に、年末調整でぜひ押さえておいていただきたいのは、年末調整が自己申告制になっているということだ。つまり、前述の「扶養控除申告書」や「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」に自身が記入し忘れると、戻るべき税金が戻ってこないということも考えられる。
  例えば、通常は扶養控除というと配偶者や子どもが該当するが、ほかにもリストラに遭った父、フリーターの息子、年金生活者である両親なども該当する場合がある。これらの家族が該当する場合、例えば税率20%とすると、38万円×20%=7.6万円の節税(税金還付)となるのでお得だ。
  扶養控除に該当する要件は2つ。「生計一親族」であるかどうかということと、「年間の合計所得金額が38万円以下」であるかということ。生計一親族かどうかは、同じ財布をもとに生活をしているかで判断するが、必ずしも同居している必要はない。別居していても田舎の年金暮らしの親に仕送りをしている場合などは該当することもある。
  年間の合計所得金額が38万円以下とは、バイトやパートなどの場合は年間給与収入103万円以下、年金生活者の場合は、公的年金だけの場合65歳未満で108万円以下、65歳以上で158万円以下となっている。フリーターの息子や失業中の父(失業手当は非課税)なども該当する場合があるので、ぜひ確認してもらいたい。
  また扶養控除に該当するかどうかは、原則年末時点で判定する。ということは、年内中に結婚や子どもが生まれた人は、税金が戻るチャンスである。逆に、離婚は税金の観点からは、年明けがお勧めということになる。
●  共働き夫婦は毎年、子どもの扶養者を変えてもOK
  共働き夫婦で子どもが二人いる場合、何も考えずに子どもを両方とも夫の扶養控除にしている場合がある。しかし、子どもを親のどちらの扶養に入れるかは、自由に決められる。さらには、去年と今年が違ってもOKである。
  例えば、景気低迷の影響で夫の給料が下がり、今年に関しては妻の給料と夫の給料が均衡する場合、一般的には、子どもを1人ずつ扶養に入れるほうが家族全体では節税となる。これは所得税が超過累進税率になっているからで、ポイントは、なるべく夫婦の所得が均等になるようにすることである。また同じような考えで、だれの扶養に入れるかは、一番所得が高い人にすると節税となる。
  年末調整時に配布される「扶養控除申告書」や「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」という書類は、税金を戻してもらうためのアピール書類と考えて、積極的に自身が該当する控除項目をくまなく書いて提出しよう。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.11.21
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