>  今週のトピックス >  No.1143
海外派遣者の現状と実態
●  海外派遣希望者は増加傾向に
  海外派遣される社員は年々増加しており、外務省の統計によると家族も含めて約37万人が海外に長期滞在しているとされている。今般、その派遣者の実態が調査・報告された。
  海外派遣が発令される際、それが本人の希望であるのが51.7%、希望していない派遣が17.9%である。約10年前の93年の調査では、希望が47.6%、希望していないが20.8%であるから、この10年間で自ら希望する海外派遣が増えたことが分かる。
  なお、配偶者が海外派遣を希望していたかについては、希望していたが55.5%、希望していないが15.1%と、派遣者本人より配偶者が希望する割合の方が多少高い。
  会社として配偶者が帯同した方が望ましいと考えているのは32.6%、どちらかというと帯同が望ましいとするのは20.2%、どちらともいえないが41.6%で、半数以上が配偶者の帯同に前向きである。
●  労使関係から危機管理まで多岐にわたる派遣前研修
  派遣前に危機管理に関する研修を受講したかどうかについては、受講した派遣者は37.4%、受講しなかったのが16.6%、研修制度が会社にないという回答が38.3%である。研修内容は現地の労使関係、労働慣行、仕事上の災害防止対策、英語、赴任現地語、危機管理・安全対策などである。
  また、必要な言語は英語であるとする派遣者は85.5%に上る。ただし、中国への派遣者では81.5%、その他のアジアでは63.6%となっており、アジアでは英語以外の言語の必要性が高いようだ。
  派遣期間が規定されていたり目安が示されている場合の平均的な期間は、4.2年である。この期間はこれまでと変化はないが、地域別に見ると中近東が3.6年、北米が4.6年、ヨーロッパが4.5年とやや長い。
●  派遣地での生活満足度は高評価
  赴任後の現地での生活の満足度を項目別に見てみると、いちばん満足度の高い項目は「住宅」である。「大変満足」「どちらかといえば満足」を合計して69.7%が満足している。次に満足度が高いのは「通勤事情」69.5%、引き続き「現地での生活全般」55.7%、「食生活」51.6%、「子供の教育」50.9%、「治安」が50.2%となっている。逆に満足度が低いのは、「医療環境」で30.8%、「地域住民との関係」が24.1%などとなっている。
  また再度海外勤務する希望があるかについては、「ぜひ行きたい」30.2%、「派遣地域による」36.5%、「派遣先での地位、処遇による」17.8%で、「行きたくない」は10.7%に留まる。8割以上の人が再度の海外派遣に対して、条件付きながら前向きであることがうかがえる結果となっている。
出所:独立行政法人労働政策研究・研修機構「第6回海外派遣勤務者の職業と生活に関する調査結果」(2005年10月)
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.11.28
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