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頻発する地震の備えを税制でバックアップ
●  地震保険料の税優遇で加入促進を図る
  2006年度税制改正において自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は、「地震保険料」を対象とした新しい所得控除制度の新設を検討することを明らかにした。自民党税制調査会で合意が得られれば、12月15日に発表予定の与党税制改正大綱に盛り込まれることになる。
  これは最近頻発する地震に各自が備えることを、税制が後押しするのが狙いだ。「地震保険料控除」という新しい税額控除制度を導入することによって、地震保険の加入率向上につながればという考えのようだ。
  税制上での現在の地震保険料の扱いは、損害保険料控除の枠内ということになっている。損害保険料控除とは、長期分と短期分に分かれるが、合計しても15,000円の控除額(所得税の場合)でしかない。それに対して生命保険料控除は、一般の生命保険料控除で最大5万円、年金保険料控除で最大5万円と、合計10万円の控除がある。
  そのため今回の案で内閣府は、控除限度額について所得税は年5万円、住民税は年3万5,000円とするよう要望している。しかし最近の税制動向は、なるべく個別の控除制度などはなくして簡素なものにしていこうという方向性にあるため、今後の調整は難航しそうだ。
●  耐震改修にも減税措置を
  ほかにも最近の地震頻発に備えた税制改正の要望が出ている。それは、住宅の耐震改修工事を促進する減税措置だ。特に公明党が強く要望している。
  この耐震改修に伴う減税措置とは、新耐震基準を満たしていない戸建てやマンションを、地震に備えて改修工事を行った場合に、税額を減免するというものだ。1981(昭和56)年6月1日に施行されたいわゆる「新耐震基準」を満たしていない住宅は、全国の住宅数約4,700万戸のうちその約25%である1,150万戸に上る(国土交通省調べ)といわれている。それに対して政府の目標は90%以上であるため、与党としてもなんとか減税措置を後押しに耐震改修を迫りたい考えだ。
●  早ければ来年4月から導入!?
  以上2つの税制改正要望は、まだ決定事項ではない。その大枠は12月15日に与党から発表される与党税制改正大綱で分かることになる。そしてその大綱に記載されれば、早ければ来年4月には導入されるかもしれない。
  これらを含めた今後の税制動向は、新聞などでチェックしておきたいものだ。
(今村 仁、今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2005.12.05
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