>  今週のトピックス >  No.1151
賃金以外の労働条件も企業規模による格差が
●  所定労働時間の変動なし
  厚生労働省が毎年実施している企業の就労条件などの調査結果がまとまった。毎年調査項目が一定ではなく、今年度は労働時間、賃金、社外活動支援、定年制などについて調査されており、ここでは労働時間の結果について報告する。
  まず所定労働時間は、平均で7時間40分である。前年の調査でも7時間40分と変動はなかった。なお、平成13年の調査結果も7時間40分で、ここ数年、所定労働時間に動きはない。
  一週間の所定労働時間は、一日の労働時間を5倍した39時間16分である。これは前年調査を5分下回っている。所定労働時間を企業規模別に見ると、100名未満の企業で7時間39分、1,000名以上の企業で7時間44分とほとんど差はみられない。
●  4割にとどまる完全週休2日制
  次に週休の制度を見ると、まず何らかの週休2日制は大部分の企業で導入されており、1,000名以上の企業で94.2%、100名未満の企業でも87.8%と、ほぼ定着しているといえる。業種別では、金融・保険業が99.5%、電気・ガス・熱・水道業が97.8%と高い。しかし完全週休2日制となると、導入率は41.1%(前年調査では39.0%)と半分に満たない。しかも、1,000名以上の企業では74.3%であるのに対して、100名未満では35.9%と企業規模による格差が大きい。
  年間の休日日数は、平均105.3日で、前年の104.7日から0.6日増えている。これも企業規模による格差があり、1,000名以上の企業では116.3日だが、100名未満では103.3日である。業種別では、金融・保険業が120.4日と最も長く、情報通信業の118.6日、電気・ガス・熱・水道業の117.1日と続く。逆に休日日数が少ないのは、飲食店・宿泊業の92.6日、運輸業の97.8日となっている。
●  有給休暇消化率は半分以下
  企業が付与する年次有給休暇日数は、平均18.0日(前年も18.0日)である。労働者が実際に取得した休暇は8.4日で、消化率は46.6%と半分以下である。企業規模では、1,000名以上の企業では19.1日の付与で9.9日の消化、300〜999名企業では18.0日の付与で7.9日の消化、100〜299名では17.3日の付与で7.3日の消化、100名未満では16.8日の付与で7.2日の消化となっており、規模が小さいほど休暇日数は少なくなっている。
  企業規模によって、賃金以外の労働条件についても格差があることが改めて浮き彫りにされた。
出所:厚生労働省「平成17年就労条件総合調査結果の概況」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2005.12.12
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