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平日に子どもが父親と過ごせるのは2時間未満
●  子育ての時間に対する希望と実態の格差
  株式会社ベネッセコーポレーションは12月12日、乳幼児のいる首都圏の父親約3,000人に対して、子どもへのかかわりや子育ての意識を尋ねた調査結果を発表した。この調査はインターネットによるものであるが、「父親の子育て意識・実態」に関する調査は、いままで日本ではあまり実施されていないこともあり、大変貴重なデータである。
  「父親の子育て」について社会的関心が高まり、父親自身ももっと子育てのための時間をとりたいと思っているが、現状は希望通りにはなっていない。今回の調査は、父親と子どもとの関係、家族関係、父親の仕事と家庭のバランスなどの現状を把握することを目的としているが、各企業の経営陣や人事担当者もこれらを参考にして働きやすい職場づくりを目指してほしいところである。
●  出産に立ち会った父親(現在0歳児)は、約55%
  調査結果によると、父親が平日に子どもと過ごす時間は1〜2時間が27.0%で最も多く、次いで30分〜1時間未満の19.6%であった。2時間未満の合計は63.7%であった。
  一方、理想とする子どもと過ごす時間という質問には、2〜3時間が32.6%、次いで1〜2時間未満が23.9%、3〜4時間未満の18.7%と続いている。このように「希望」と「現実」にギャップがあるが、これこそ真実の姿であるといえよう。父親の意識は示されているものの、十分な時間がとれず仕事とのバランスに苦労している様子がうかがえる。
  子どもの出産への立会いについては、0歳〜6歳の子どもを持つ父親の約半数は、子どもの出産に立ち会った経験を持っている。「立会いをしたかったけれどできなかった」人も28.2%いることは注目すべき点であろう。調査結果によれば出産に立ち会う父親は年々増加しており、現在0歳児の父親の立会いは55.1%である。
●  父親の参加率が低いのは「子どもと外で遊ぶ」こと
  また父親の家事・育児への参加状況については、家事育児で半数以上の父親がほぼ行っているのは「ごみ出し」「子どもを叱ったり、ほめたりすること」「子どもが病気の時、面倒を見ること」で、逆にあまりしていないのは「子どもと一緒に外で遊ぶ」や「掃除をすること」である。
  例えば、子どもと一緒に外で遊ぶことは、一緒に過ごす時間が増えれば徐々に取り組んでくれると思われる。いずれにしても、今後も父親の子育て参加を促進する工夫が必要であり、そのためには社会的なサポートが欠かせないといえる。
●  父親の不安は、将来の子どもの教育費用
  この調査結果によれば父親の子育てに関する今後の不安として「将来の子どもの教育費用が高いこと」と「子どもを育てる社会としては不安であること」が上位に挙がっている。教育費用や育児費用は、思っている以上に負担が大きいということは各方面から話を聞いていることもあり、より不安になることもやむを得ないところであろう。
  子育てのための不安は確かにいろいろあるが、このような調査結果を参考にしながら、社会全体で子育てしやすい環境をつくりだそうとする意識が高まることがのぞましい姿ではないだろうか。
出所:株式会社ベネッセコーポレーション「乳幼児の父親についての調査」結果速報
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2005.12.26
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