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改正「高年齢者雇用安定法」への対応
●  雇用延長は約9割の企業が対応
  高年齢者雇用安定法が改正され、2006年4月1日から、高年齢者について年金支給開始年齢までの雇用確保措置が各企業に義務付けられる。
  具体的な措置の選択肢としては、@定年の引き上げ、A継続雇用制度の導入(当面は労使協定により基準を定めた場合に限り、希望者全員を対象としないことも可)、B定年制の廃止、の3つである。定年年齢や雇用延長の年齢は、2013年度までに段階的に65歳まで引き上げることとなっている。
  厚生労働省は2005年11月1日時点における法施行に向けた企業の取組状況について、聞き取り等により調査を行った。その時点ですでに「雇用確保措置を導入済み」としている企業は、11,169社中2,633社で23.6%となっている。
  また、未導入の企業においても、「現在、関係労使間で協議中」など、「法施行時までに改正高年齢者雇用安定法に沿った雇用確保措置を導入予定」とする企業は、7,053社、63.1%となっている。このため、「導入済み」および「導入予定」の企業の合計は、9,686社、86.7%となっている。
  産業別の取組状況を見ると、「運輸業」、「医療・福祉業」などについては平均を上回っているが、「情報通信業」、「飲食店、宿泊業」、「金融・保険業」などについては平均を下回っている。企業規模別では、特に大きな特徴は見られない。
●  雇用確保措置の大半が継続雇用
  導入済み企業および見込み企業による取り組みの具体的な内容は、次のとおり。
  雇用確保措置の上限年齢については、「来年4月1日から62〜64歳まで引き上げる」とする企業は5,867社、60.6%となっているが、改正高齢法の義務化スケジュールより前倒しし、「来年4月1日から65歳以上へ引き上げる」とする企業は3,819社、39.4%となっている。
  措置の内訳については、「定年の定めの廃止」や「定年年齢の引上げ」の措置を講じる企業は少なく(両者で725社、7.5%)、ほとんどの企業が「継続雇用制度を導入」としている(8,961社、92.5%)。
  高年齢者雇用安定法は2004年6月に改正され、改正点は主に3点。まずはここで上述した雇用の延長であり、2006年4月に施行される。
  次に高年齢者の再就職促進に資するよう、採用時に年齢制限する場合はその理由の明示を求めたり、会社都合で離職する高年齢者に対して、企業は職歴や能力を示す書面の交付を義務付けられた。
  3点目は、シルバー人材センターの業務の緩和で、臨時的な業務に高年齢者を派遣する際は、特例として本来許可制であるものを届出制としたものである。この2点は2004年12月にすでに施行されている。
出所:厚生労働省「改正高齢法の施行に向けた企業の取組状況について」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.01.05
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