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個人向け国債に新たなラインアップ
  平成18年1月から個人向け国債に、新しい商品ラインナップが加わることはご存じだろうか。商品名は『個人向け国債 固定5年』(以下、個人国債5年)である。この新商品によって、従来の個人向け国債は『個人向け国債 変動10年』(以下、個人国債10年)と2種類になったことになる。では、この個人国債5年とは、どのような特徴を持った商品なのか見ていこう。
●  個人国債5年の特徴
  個人国債5年は、従来の個人国債10年と異なる特徴がいくつかある。その特徴をまとめると次のようになる。
  個人国債5年 個人国債10年
期間 5年間 10年間
金利の変動 なし(固定金利) 半年毎あり(変動金利)
金利 基準金利−0.05% 基準金利−0.08%
中途換金 可能
(2年経過後は4回分の経過利子相当額を支払う)
可能
(1年経過後は2回分の経過利子相当額を支払う)
最低金利保証 0.05% 同左
利子の支払い 半年毎 同左
購入金額 1万円から購入可能 同左
個人国債5年の基準金利は、5年固定利付国債の実勢金利。個人国債10年の基準金利は10年固定利付国債の実勢金利であり、同一の金利ではない。
●  個人向け国債の発行スケジュール
  個人国債5年は10年国債と同様、毎年度4回(4月、7月、10月、1月)の発行が予定されている。具体的なスケジュールは、以下の通りである。
  募集期間 発行日 適用金利
第1回債 平成17年12月9日〜29日 平成18年1月16日 0.8%
第2回債 平成18年3月 平成18年4月17日
第3回債 平成18年6月 平成18年7月18日
第4回債 平成18年9月 平成18年10月16日
●  個人国債5年の販売ターゲット
  個人国債5年の販売ターゲットは、やはり銀行や郵便局に定期預金を保有する高齢者が中心となることが予想される。2年経過後はいつでも中途解約できるという流動性の高さに加え、満期が5年後という特徴、金利が変動しないという点は、特に高齢者に好まれる特徴であろう。さらに「国が発行するという安心感」は高齢者への販売において最大の強みとなるであろう。
  高齢者だけでなく、2007年に始まる団塊世代の退職金の受け皿商品としても人気が出る可能性がある。加えて、銀行などの定期預金の低金利に満足していない全世代の預金者に人気がでる可能性は十分にあるであろう。その意味では、銀行・信用金庫・農協・郵便局にとって非常に手ごわい金融商品の登場といえる。
●  さらなる預貯金から国債への資金シフト
  平成15年3月に初めて発行された個人国債10年は、発売当初「本当に売れるのか?」という声も一部の専門家からあがった。しかし実際は、平成17年11月までに12回発行され、その販売額は約15兆5,137億円を突破し、まさに想定外の販売額を記録している。また取扱金融機関は855にも上り、個人向け国債は今や全国どこでも手軽に購入できる身近な金融商品となった。
  そして今この個人国債10年は、個人が保有する預貯金から国債へ着実に資金シフトを起こさせたことは間違いない事実であろう。その個人向け国債に別の特徴を持つ個人国債5年が加わることは、個人の金融資産において、一層の国債シフトを起こす、ひいては「貯蓄から投資へ」という流れを起こすことが十分考えられる。その意味で、平成18年は『個人向け国債 固定5年』の販売動向に注目したい。
2006.01.05
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