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東アジア地域出身の労働者がさらに増加へ
●  最多は東アジアの4割超
  厚生労働省は昨年12月22日、外国人の雇用状況報告(平成17年6月1日現在)の結果について発表した。この調査は、毎年事業主から報告をうけたものを集計する形で平成5年度から実施されているものだが、外国人雇用の状況の現状把握は大変難しいものであり、大変貴重なデータであるといえる。またこれらのデータは、地域の労働力需給の調整をしたり、外国人労働者に対する適切な雇用管理の促進にも役立っている。
  調査結果によると産業別では直接雇用される外国人は、事業所数も労働者数も製造業が最も多く、出身地域別では、「東アジア」が構成比 43.2%と最も多い。今後労働力不足の時代が到来するといわれているが、外国人労働者の現状を把握することが今後の対策や現時点での問題の早期解決につながり、結果的に日本経済の発展に何らかの形で貢献することになるのではないだろうか。
●  産業別では製造業が半数以上
  外国人労働者数(直接雇用)は、産業別では「製造業」が最も多く54.4%、次いでサービス業(他に分類されないもの)12.1%、教育、学習支援業8.4%、卸売小売業8.1%、飲食店、宿泊業8.0%と続いており、これら上位5位までで直接雇用外国人労働者数全体の91.0%を占める結果となった。これを見る限り外国人労働者の雇用される産業はかなり偏っているといえるが、今後厚生労働省は、専門的、技術的分野の外国人労働者の受け入れを積極的に行っていく予定なのでさまざまな対策を経て、徐々に変化していくことも予想される。
  出身地域別では、「東アジア」が最も多く構成比43.2%、次いで「中南米」は構成比30.4%、「東南アジア」構成比14.0%の順で多い。東アジア(出身地域に含まれる国)とは、中国(香港等を含む)、韓国のことで、東アジアの労働者が最も多いということは最近の報道などからも予想できる結果ではなかろうか。なお、「中南米」のうち「日系人」は、「中南米」のうちの約9割となる89.6%を占めた。また平成16年度調査において、平成5年度の調査開始以来、初めて「東アジア」 が「中南米」を上回ったが、本年度においては「東アジア」が前年より23.9%増加する一方、「中南米」が前年より 6.3%減少しており、「東アジア」の増加傾向が強まっている点も気になるところである。
●  外国人雇用に関する注意すべき点とは
  外国人を雇い入れる際には、いうまでもなくその労働者が適法に在留し就労できるものであるかを必ずパスポートや入国査証、外国人登録証明書などで確認することが必要である。主な確認事項としては、(1)入国要件を備えているか(2)就労資格を有しているか(3)在留期間を超えていないかが挙げられる。
  また雇い入れ後の労務管理も非常に難しい点も多く、労務管理担当者が頭を悩ませているのも事実である。特に国が違えば文化や宗教も違うし、自分の能力について主張の強い労働者も多い。このような中で外国人労働者をどのように管理していくかは、各企業担当者が工夫しながら実行しているところではあるが、基本的には合意内容については何でも書面で残しておくといざというときに役に立ち、トラブルの抑止効果もあるのではないだろうか。
出所:厚生労働省「外国人雇用状況報告(平成17年6月1日現在)の結果について」
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2006.01.10
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