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企業の交際費支出額は8年連続の減少
●  法人企業の実態
  国税庁がこのほど公表した「2004年分法人企業の実態調査」結果によると、2005年1月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などで使った交際費が、4年連続で4兆円台を割り込む前年比▲0.7%(252億円)減の3兆4,393億円だった。これで8年連続の減少。また、営業収入1,000円を得るための交際費は2円37銭で、1951年分の調査開始以来過去最低の数字となった。
  同調査は1951年分から実施しており、第54回目にあたる今回の調査は、資本金階級別・業種別等に一定の抽出率で標本法人5万6,440社を抽出し全体を推計したものである。
●  赤字法人は近年で最低割合
  2004年分の法人数は257万2,088社で、前年より1万8,953社(0.7%)増加した。このうち、連結親法人は294社、連結子法人は3,435社。連結子法人を除いた256万8,653社のうち、赤字法人は172万2,023社で全体の67.0%を占めた。この赤字法人割合は前年に比べ1.1ポイント低下し、98年分以降では最も低い数字となった。
  なお、連結法人は黒字法人が75社、赤字法人が219社で、赤字法人割合は前年より7.1ポイント低下したが、なお74.5%と高く、グループ内の損益を通算できる連結効果を裏付けた。
  法人全体の赤字法人割合は低下したが、過去を振り返れば、91年分では50.3%と黒字法人のほうが上回っていたのだから、現在の7割弱が赤字法人という状況は異常である。しかし、2004年分の営業収入金額は、前年に比べ3.4%増の1,449兆4,869億円と増加に転じ、景気回復傾向を反映した。所得金額は18.8%増の38兆9,498億円。営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は4.1%となる。黒字法人の営業収入金額は951兆4,047億円で前年に比べ9.9%増となった。
  また、黒字法人の益金処分総額は19.3%増の42兆7,831億円だった。内訳をみると、役員賞与5,777億円(構成比1.4%)、支払配当5兆7,468億円(同13.4%)、法人税額10兆1,878億円(同23.8%)、その他の社外流出5兆5,496億円(同13.0%)で、これらを差し引いた社内留保20兆7,212億円は過去最高となる48.4%を占めた。役員賞与が占める割合1.4%は昨年に引き続き過去最低、また支払配当は昨年に比べ30.1%増となった。
●  5割を切った交際費の損金不算入割合
  交際費の支出額3兆4,393億円のうち、税法上損金に算入されなかった金額は前年に比べ▲13.3%減の1兆6,854億円と4年連続で減少し、損金不算入割合は前年より7.1ポイント減の49.0%と5割を切った。周知のように資本金1億円以上の企業の支出交際費は全額損金不算入だ。2003年度改正で損金不算入割合が10%引き下げられたが、中堅・大企業は交際費の支出抑制に引き続き努めたことが数字に表れている。
  営業収入金額1,000円あたりの交際費支出額は、全体では2円37銭で、1951年分の調査開始以来過去最低の数字となったが、これを資本金階級別にみると、資本金「1,000万円未満」の階級が5円99銭と高く、一方、「10億円以上」の階級では1円34銭と低くなっている。
  また、業種別にみると、「建設業」が5円17銭、「出版印刷業」が4円5銭、「化学工業」が3円42銭と高く、一方、「機械工業」は1円47銭、「小売業」と「金融保険業」がともに1円53銭と低い。
参考資料:国税庁「平成16年度税務統計会社標本調査結果(速報)」
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2006.01.10
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