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「地震保険料控除」の創設
●  安心・安全への配慮
  昨年12月15日に自民党より発表された「平成18年度税制改正大綱」によると、安心・安全への配慮として、新たに「地震保険料控除」が国税である所得税および地方税である住民税において創設されることになった。
  従来からあった損害保険料控除というのは、納税者が損害保険契約や損害共済契約の保険料や掛け金を支払った場合に、一定の金額の所得控除を、所得税および住民税において受けられるというものである。損害保険料控除の対象となる損害保険料の金額は、納税者がその年に支払った金額からその年に受けた剰余金などを差し引いた残りの額である。ちなみに、払込期日が来ていても未払いになっているものは含まれない。また、数年分の保険料や掛け金を一括払いした場合には、年払いの場合は1年分、月払いのものであればその年の分だけが支払った金額とされることになる。
  実際に所得控除できる金額は、長期損害保険契約と短期損害保険契約によって計算式が異なる。長期損害保険契約(保険期間または共済期間が10年以上で保険期間満了時に満期返戻金などが支払われることになっているもの)を例にとると、支払った保険料の金額によって以下のようになる。
年間の支払保険料の合計 控除額
1万円以下
1万円超 2万円以下
2万円超
支払金額
支払金額÷2+5,000円
1万5,000円
●  地震保険料控除
  従来からある損害保険料控除に対して、新しく創設される「地震保険料控除」は、より有利な規定になっている。対象となるのは地震保険契約に係る地震等相当部分に限定されるが、該当すればその支払保険料の全額が所得控除されることになっている(国税での取り扱い)。
  また、従来からある損害保険料控除であれば最高でも所得税で1万5,000円だが、地震保険料控除においては最高5万円の控除が所得税で受けられる(住民税2万5,000円)。適用時期としては、平成19年分以後の所得税となっている。
【参考】
■国税
1 地震保険料控除の創設
損害保険料控除を改組し、次のとおり地震保険料控除を創設する。
(1)居住者等の有する居住用家屋・生活用動産を保険又は共済の目的とし、かつ、地震等を原因とする火災等による損害に基因して保険金又は共済金が支払われる地震保険契約に係る地震等相当部分の保険料又は掛金(以下「保険料等」という)の全額をその年分の総所得金額等から控除する。(最高5万円)。
(2)経過措置として、平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等(上記(1)の適用を受ける保険料等に係るものを除く)に係る保険料等については、従 前の損害保険料控除を適用する(最高1万5千円)。
(3)上記(1)と(2)を適用する場合には合わせて最高5万円とする。
(4)その他所要の措置を講ずる。
注)上記の改正は、平成19年分以後の所得税について適用する。
■地方税
1 地震保険料控除の創設
損害保険料控除を改組し、次のとおり地震保険料控除を創設する。
(1)居住者等の有する居住用家屋・生活用動産を保険又は共済の目的とし、かつ、地震等を原因とする火災等による損害に基因して保険金又は共済金が支払われる地震保険契約に係る地震等相当部分の保険料又は掛金(以下「保険料等」という) の金額の2分の1に相当する金額を総所得金額等から控除する(最高2万5千円)。
(2)経過措置として、平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等(上記(1)の適用を受ける保険料等に係るものを除く)に係る保険料等については、従前の損害保険料控除を適用する。(最高1万円)。
(3)上記(1)と(2)を適用する場合には合わせて最高2万5千円とする。
(4)その他所要の措置を講ずる。
注)上記の改正は、平成20年度分以後の個人住民税について適用する。
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.01.16
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