>  今週のトピックス >  No.1174
日本企業のM&A件数が過去最高
●  2005年は前年比500件増
  日本企業がかかわるM&A(合併や買収)が急増している。M&A仲介会社のレコフによると2005年のM&A案件は2,700件を超え、過去最高を記録。昨年を500件以上も上回った。今年は5月に会社法が施行され、企業のM&A戦略の選択肢広がる。M&Aの増加傾向は今年も続きそうだ。
  M&Aが増えているのは、景気回復で業績が良くなっている企業が、余剰資金を使い他企業の買収を進めていることが主な要因だ。例えば昨年末に発表されたセブン&アイ・ホールディングスによるミレニアムリテイリングの買収は典型的だ。
  セブン&アイはコンビニエンスストアの『セブンイレブン』やスーパーの『イトーヨーカドー』を運営する日本を代表する小売業だが、グループ単独での成長は限界があると判断した。そこで、そごうや西武百貨店を傘下に持つミレニアムリテイリングを買収することにしたようだ。両百貨店はいずれも一時経営不振に陥ったが、現在は順調に再建が進んでおり、セブン&アイは百貨店の人材やノウハウ、商品開発力をグループに組み込むことで成長に弾みをつけることを狙っている。
●  海外企業買収も増加傾向
  同様の理由から日本企業による海外企業の買収も増えている。例えば住友商事は米ナスダック上場の自動車用タイヤ小売り大手、TBCコーポレーションを昨年の11月に買収した。買収額は1,300億円と高額だが、消費者向けのタイヤ販売網を傘下に収めることで、タイヤ販売事業でほかの総合商社の追随を許さない地位を築くことを重視した。今後も海外での商機を求めて、日本企業による海外企業買いが進みそうだ。
●  会社法でルール整備に着手
  2005年は友好的ではない買収がクローズアップされた年でもあった。通産省出身の村上世彰氏が率いる「村上ファンド」が阪神電気鉄道株を買い占めたり、楽天がTBSの株を取得して経営統合を迫ったりと、相手企業の経営者が望まない買収者によるM&Aが目立った。
  今年5月に施行される会社法下では、こうした買収者に対抗するための防衛策が整備される予定だ。経済産業省と法務省が買収防衛の指針を公表したのに続き、金融庁はTOB(株式公開買い付け)などの買収ルールの見直しに着手しており、M&Aのルール作りが着々と進んでいる。ルールが整備されれば、経営陣が過剰な防衛手段をとろうと思っても、株主から待ったがかかる可能性が高まる。こうした機運はM&Aをさらに促進させそうだ。
2006.01.16
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