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拡大の一途をたどる派遣労働事業
●  派遣労働者の常用雇いが増加傾向
  労働者派遣事業の平成16年度の状況が、厚生労働省から報告された。16年度内に実際に派遣された派遣労働者数は約227万人で、前年度の約236万人と比べて4%減となった。ちなみに前年度は対前年度比11%の伸びを示していた。派遣労働者は、派遣会社に登録して期間を定めて派遣される労働者(以下、一般派遣労働者)と、期間の定めなく派遣される労働者(以下、特定派遣労働者)に分かれ、前者は約212万人、後者は約14万人である。
  一般派遣労働者は、さらに1年を通じて常に派遣されていた労働者(常用雇用労働者)と、1年のうち派遣されていない期間のある労働者(登録者)に区分されて集計されている。
  一般派遣労働者約212万人のうち、常用雇用労働者は約27万人で、前年度の約23万人から大きく増加している。一方で登録者は約184万人で前年度の約198万人から減少しており、常に雇われている派遣労働者が増えていることが分かる。
  登録者は約184万人と人数では減少しているものの、年間の平均派遣労働期間は3.1月であり、前年度の2.2月と比べて長くなっていることから、派遣労働者のニーズが高まっていることが窺われる。
  一方、特定派遣労働者は約14.6万人で、派遣労働者に占める割合は低いが、前年度の約13.8万人からは増加している。
●  派遣受け入れ事業所の拡大
  一般派遣労働者の派遣先業務の種類は、事務用機器操作が48.6%と半分近くを占め、次いで財務処理12.7%、ファイリング5.9%などの順となっている。特定派遣労働者は、機械設計32.4%、ソフトウエア開発28.7%、事務用機器操作16.2%などである。
  派遣先は約49万事業所であり、前年度比17.0%増(前年度の対前年度比も18.6%増)となっており、派遣を受け入れる事業所は増加している。派遣事業者の売り上げも全体で約2.8兆円であり、前年度比21.2%と大きく伸びている。
  派遣料金(派遣先が派遣元へ支払う料金)は、一般派遣労働者では15,958円で、前年度より0.3%減と横這いであり、派遣のニーズが高まっているのに料金は上がっていない。特定派遣労働者は、25,628円と一般に比べて高く、また対前年度比6.4%増加している。
  派遣賃金(派遣元は派遣労働者に支払う賃金)は、一般派遣労働者では11,405円、特定派遣労働者が15,997円となっている。
出所:厚生労働省「労働者派遣事業の平成16年度事業報告」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室長、千葉商科大学会計大学院教授、CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.01.30
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