>  今週のトピックス >  No.1180
年金受給者の確定申告(平成17年版)
●  年金の確定申告計算方法
  今年もそろそろ確定申告の時期である。2月16日-から3月15日までが確定申告の申告書提出受付期間であるが、税金がもどってくる還付申告になる場合はすでに申告が可能となっているので注意されたい。具体的には、還付申告の場合は1月1日から申告ができる。
  さて、年金生活者の確定申告は、まず「年金の源泉徴収表」を用意するところから始まる。通常よくあるのは、国から年金の支給を受ける「老齢基礎年金」と、企業が代行している「老齢厚生年金(基金も含む)」という2枚の「源泉徴収表」である。これらは両方とも、「公的年金等の源泉徴収表」と言い、公的年金については税制上一定の控除額がある。
  これを、「公的年金等控除額」と言う。老後の生活を保障するという観点から、確定申告書上で1年間にもらった年金額からこの「公的年金等の控除額」が差し引けるようになっているのである。そういう点では、民間の保険会社などから支給を受ける「私的年金」に比べると、「公的年金」のほうが税制上は有利になっているといえる。
  しかし、少し優遇し過ぎているのではないかという批判もあって、今年の確定申告分からこの「公的年金等の控除額」が引き下げられた。
【公的年金等に係る雑所得の速算表(平成17年分〜)】
年金を受け取る
人の年齢
(a)公的年金等の
収入金額の合計額
(b)割合 (c)控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額はゼロとなります)
700,001円から1,299,999円まで 100% 700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります)
1,200,001円から3,299,999円まで 100% 1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
●  「老年者控除」の廃止
  公的年金等控除額の引き下げ以外に、今年の確定申告からもう1つ改正点がある。それは「老年者控除」の廃止である。以前までは、65歳以上の人でその年の合計所得金額が1,000万円以下の場合には、50万円の控除額があった。これが老年者控除といわれるものであったが、今年の確定申告分から廃止されたのである。
  しかし老年者控除が廃止されたことにより、主に「夫に先立たれた妻」という立場の人は、27万円の「寡婦控除」が受けられる。というのは、老年者控除と寡婦控除の重複適用は認められなかったからである。しかし老年者控除が廃止された今となっては、寡婦の方(夫に先立たれた妻)は、今年の確定申告について寡婦控除が受けられるはずである。ぜひ該当する方は検討してみてほしい。
参考:国税庁「タックスアンサー」
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.01.30
前のページにもどる
ページトップへ