>  今週のトピックス >  No.1183
新卒採用はますます拡大傾向
●  2005年に新卒採用増企業は過半数
  2005年4月に入社した新卒者の採用プロセスを調査した結果が、日本経団連から報告された。回答企業のうち、採用人数を増加した企業は53.9%と半数を超え、2004年採用の51.0%に比べても一段と増加した。一方、採用人数を減少した企業は、15.0%(2004年は18.9%、2003年は26.4%)と年々その割合は少なくなっている。なお新卒を採用しなかった企業は8.8%(2004年度は12.4%)だった。景気回復を受けて、事業拡大のための人材を確保する企業が増えてきていることが分かる。
  採用増を受けて、「昨年と比べて売り手市場であった」との回答が74.8%と4分の3であり、「特に変わらない」は21.5%と採用が困難になっていることが分かる。内々定後に辞退する割合は「10%程度」が27.6%、「20%程度」が18.5%、「30%程度」が16.8%などとなっている。
  採用スケジュールは、図表のように4月に採用を開始するのが平均的である。「採用活動の終了時期を早めた」企業は14.7%(前年度8.8%)に留まり、「変わらない」企業が75.8%と2004年度と同じスピード感であった。
  採用手順として、会社説明会と選考会を分離実施しているのが68.0%と過半数を占める。また説明会・選考会を複数開催した企業が全体の86.5%と大部分を占め、しかもそのうちの89.7%が複数開催は効果があったと回答している。
●  通年採用は随時採用と秋季採用に二分
  通年採用も全体の33.5%(2004年度は29.7%)の企業が実施している。通年採用の内訳は、「年間を通した随時採用(51.1%)」と「通常の採用時期と秋季採用の2本立て(43.2%)」のいずれかだ。
  リクルーター制度は、29.8%約3割の企業が採用している。またオープンエントリー(公募制)を74.3%の企業が採用しており、オープンエントリー採用がかなり定着したようだ。
  大学名を不問とする企業は38.0%(前年度37.7%)と約4割に過ぎない。また学生のエントリーのルートをインターネットのみとする企業が66.1%、郵送方式とインターネット方式の併用が24.2%、郵送のみのエントリーが6.9%と、就職に当たって、学生にインターネットは必要不可欠なものとなっている。
  選考方法を見ると、採用試験は面接が97.4%とほとんどすべての企業が実施している。筆記が74.8%、適性試験実施が78.1%(2004年度が47.1%)である。筆記試験の内容は、基礎学力が66.7%、一般常識が46.0%、小論文が37.9%、外国語が26.8%となっている。
  職種別採用については、39.8%の企業が実施している。導入した分野は、営業・販売職(52.8%)が最も多く、経理・財務職、SE、法規・法律職の順になっている。ちなみに新卒の採用予定派遣は3.4%が利用しているに過ぎない。派遣終了後は66.7%の3分の2が派遣者を採用している。
【採用開始時期の比較】
出所:日本経団連「2005年度新卒者採用に関するアンケート調査集計結果の概要」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.02.06
前のページにもどる
ページトップへ