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団塊世代に畏敬の念を…
●  団塊世代の現状
  マスコミを見ていると、特に最近「団塊の世代」という言葉をよくみかける。第一生命経済研究所の調査によると、団塊世代が保有する金融資産は130兆円といわれ、また団塊世代が手にする退職金は50兆円ともいわれている。
  「団塊の世代」という言葉は、作家の堺屋太一氏が1976年に発表した『団塊の世代』という小説に起因する。団塊の世代とは正確には、戦後1947年〜49年生まれの第一次ベビーブーマー世代のことであり、第二次ベビーブーマー世代とは1971年〜73年生まれのいわゆる「団塊ジュニア世代」のことである。「団塊の世代」は、日本の人口構成をみたときに突出して多いため、何かと社会に大きな影響を及ぼしてきたといえる。
  例えば日本の高度経済成長を支えてきたのも、この「団塊世代」である。労働力人口の多さもさることながら、競争社会で育った影響からか「企業戦士」や「モーレツ社員」などに変身した人も多かった。一方マイナス面としては、「過労死」であったり、平成大不況の中での「リストラ」や「出向・転籍」の対象となったりした人もいる。
●  ジュニア世代にとっては反面教師
  そんな中、多くの団塊ジュニア世代は団塊世代である親たちを見て、「親のようなサラリーマンになっても仕方がない」と感じている。非常にさびしいことである。また、社会全体も団塊世代を敬うような風潮になっていない。そしてそんな団塊ジュニア世代や社会全体に対して、団塊の世代たちも説得力のある言葉を発し切れていない。真面目に一生懸命やってきたことを、もっと強く自信をもって語ってほしいとわたし個人としては思うのであるが。
  今日本では景気が回復基調にあるといわれているが、しかしその実体はまだまだ脆弱である。また、昨今の経済や社会面での犯罪など、日本において問題は山積みである。その根底には、今まで当たり前であったことがちゃんとできていないことが原因にあるように思う。例えば、真面目に一生懸命働くことは素晴らしいことであるというような基本的なことが、今の若い世代に伝えられていない感がある。わたしは、こういったことを伝えるのに一番の適任者は、団塊世代だと考える。
  真面目さや誠実さ、一生懸命さは、いずれもわたしが社会の中で団塊世代の人たちから教えていただいた言葉である。できることなら団塊世代の人たちに、社会の第一線から退く前にぜひとも、社会で生きていくうえで大事な基本的なことを、今の若い世代に伝えていただければと考える。そうすれば、日本の未来も明るいのではないかと思う。
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.02.13
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