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ライブドア・ショック、株式市場では沈静化
●  家宅捜索翌日はもみあいで始まる
  東京地検特捜部がライブドア本社を偽計取引などの疑いで家宅捜索したことで起こった株価の大幅下落「ライブドア・ショック」は1月中にほぼ沈静化した。家宅捜索の翌日、1月17日から2日連続で大きく下がった日経平均株価は、18日の1万5,059円を底に反発。徐々に値を戻し27日には16日の水準に回復した。株価だけをみればショックが限定的だったことを印象付けた。
  家宅捜索の翌17日の株式相場は午前中、売りと買いが交錯するもみあいの展開で始まった。ライブドアの家宅捜索は一部企業の問題と受け止める参加者が多く、ネット関連銘柄を中心に売りが先行したものの、相場全体が大幅に下落するような事態は避けられていた。
●  証券会社と東証がショック助長
  その流れが変わったのは、午前の取引終了後、マネックス証券が顧客にライブドアを含めた関連会社5銘柄を信用取引の担保から事実上外すことを通知した時点だ。信用取引とは証券会社から資金を借りて手持ちの資金以上の取引をすること。信用取引には担保の差し入れが必要だが、ライブドア株をはじめとしたネット関連株を信用取引の担保に入れて別の銘柄を購入する投資家が多かった。
  マネックス証券がライブドア株を担保として評価しないと発表したことで、個人は追加の担保を差し入れる必要に迫られ、保有するほかの銘柄を売って現金を捻出するケースが相次いだ。株式相場の先高期待を背景に、個人は5兆円超という14年ぶりの水準まで信用取引による買い残高を膨らませていたこともあり、相場はもともと過熱傾向が指摘されていた。マネックス以外の証券会社も同様の動きに出るという連想から、個人投資家が信用取引を手じまいして売りに走る展開となり、相場全体の大幅下落が始まった。
  さらに混乱に拍車をかけたのが、翌18日に起こった東証のシステム問題。個人投資家などの売りが殺到した結果、株式の約定件数が急増しシステム能力の限界に近づいたため、東証の判断で午後2時40分に株式の全銘柄の取引を停止する異例の事態に発展した。市場の機能不全で売りたいときに売れない恐怖から、翌日以降個人投資家のさらなる売りを招いた。
●  それでも底堅い相場
  ライブドア・ショックで露呈した信用取引の膨張と東証のシステム不安から、もともと過熱気味だった相場は比較的長期に調整局面に入るという専門家の見方もあった。しかし結果をみれば、日経平均株価は10日ほどで復調。信用買いも増えているというのが現状だ。ライブドア・ショックが示したのは、むしろ日本株の底堅さだった。
2006.02.13
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