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民間企業の業種別賃金の推移
●  業種別に格差のある所定内給与
  厚生労働省が毎年調査している民間企業の給与等に関する「毎月勤労統計調査」の2005年の結果が発表された。
  所定内給与(月額)は、30名以上の事業所の平均では275,231円であり、前年の273,978円と比べて0.6%増加した。2004年までは5年連続で減少していたため、6年ぶりの増加となった。業種別に見ると、製造業では前年比0.1%増の286,920円で3年連続の増加。サービス業が前年比0.2%増の240,086円となり4年連続の減少から一転して前年比増加。卸売・小売業が226,240円と前年比2.6%の増加となった。
  ここ数年、所定内給与は全体的に頭打ちであるものの、業種別に見ると、製造業は右肩上がりであるのに対して、サービス業、卸売・小売業は下がり続けていた。特に、卸売り・小売業の所定内給与の減少が著しく、最も高かった時期から1割以上の下落となっているが、ようやく増加に転じている(図表)。
●  正社員とパートタイマーの賃金格差は依然存在
  就業形態別に見てみると、30名以上の事業所においては、一般労働者(正社員)の所定内給与が324,737円であるのに対して、パートタイム労働者が93,629円と、その格差は大きく、格差は3.46倍に及ぶ。業種別でも同様に一般労働者とパートタイム労働者の賃金格差について同様の傾向がある。
  正社員だけで見ると、業種別に所定内給与の差はほとんどない。パートタイム労働者については、社員全体に占める割合は、全業種平均で約25%であるが、業種別では製造業が最も低く約13%、逆に最も高いのは卸売・小売業の約41%、サービス業が約25%である。
  先に見た業種別の賃金の格差は、正社員の業種別賃金格差ではなく、業種ごとのパートタイム労働者の占率の違いがそのまま平均賃金に反映されていることが分かる。
【業種別所定内賃金指数】
出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査(平成17年分結果速報)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.02.20
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