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5年間遡り可能なサラリーマンの還付申告
  通常サラリーマンの方は、会社で年末調整を行ってもらうことで自身の税金については完結している。しかしサラリーマンであっても、場合によっては「確定申告(還付申告)」を行うことによって、税金を戻してもらうことが可能である。さらにサラリーマンの還付申告は、通常過去5年分さかのぼれるのである。
●  確定申告の仕組み
  まずは簡単に、確定申告の計算の仕組みから紹介しよう。通常サラリーマンの場合、給料をもらっているが、その給料収入に対して税金がかかるわけではない。その給料収入から「給与所得控除」といわれる個人事業主でいう事業経費みたいなものを、まずは差し引いてくれる。そしてその「給与所得控除を差し引いた後の給料収入」から「扶養控除などの所得控除」を差し引く。そしてその差し引き後の残額に対して税率をかけて、いったん税額をもとめる。さらにその税額から、「税額控除」といわれる住宅ローン減税や、「定率減税」、すでに前年中に支払っている「源泉所得税」などを差し引き、残った税額が通常、納めるべき税額となる。ここでマイナスとなれば、税金が戻るという手はずだ。ということは税金を戻してもらおうと思ったら、「扶養控除などの所得控除」を増やすか、「住宅ローン減税などの税額控除」を増やすということになる。
●  過去5年分さかのぼれる
  例えば年末の大掃除のときなどに、「年末調整のときには見つからず結局控除を受けられなかった過去の『生命保険料控除証明書』が見つかった」、「確定申告をして税金を返してもらおうとこつこつ集めておいた『医療費の領収書』が引き出しの奥から出てきた」ということはないだろうか。ただし領収書などの日付をみたら、3年前……なんていう場合である。
  あるある! とうなずいた方は、急いでもう一度引き出しの奥から書類を引っ張り出してきてほしい。その書類は、まさにお金そのものなのである。通常サラリーマンであれば、5年前まで確定申告をすることによって税金を戻してもらうことができる。よく確定申告は翌年3月15日までですよ、とアナウンスされているが、それは税金が発生する場合のこと。税金を戻してもらう場合で、過去に確定申告をしていない人は、5年前までさかのぼれるのである。
  保険料控除なんてたかがしれているのでは? と、お思いではないだろうか。例えば、過去5年間生命保険料控除(満額の10万円控除が受けられると仮定)や損害保険料控除(満額の1.5万円控除が受けられると仮定)を全く受けていなくて、その証明書が引き出しの奥から出てきた、とする。所得税・住民税合わせて税率が20%とすると、1年分確定申告するだけで、(10万円+1.5万円)×20%=約2.3万円の税金が戻ってくる。これを単純に5年分とすると、2.3万円×5年=11.5万円。パソコンが1台買える金額である。引き出しの奥にある古びた書類の山がお金に変わるかもしれない。ぜひ過去5年分を含めた確定申告の検討をしてみようではないか。
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.02.20
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