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企業の社会貢献活動への支出、22%増加
●  2004年度は、自然災害の影響により社会貢献活動の支出額増加
  日本経団連は2月6日、会員企業など1,390社を対象にした「2004年度社会貢献活動実績調査結果」を発表した。回答企業は454社と過去最高となり、社会貢献活動に関する情報を積極的に公開しようという企業の姿勢が強く感じ取ることができた。
  調査結果によると企業の社会貢献活動支出額は総額1,508億円で前年度に比べ22.2%増加しており、1社平均で3億5,100万円(同5.1%増)と伸びている。2004年度は、新潟県中越地震、スマトラ沖大地震、日本各地での水害など国内外で自然災害が多発した年でもあったが、回答企業の97.2%が被災地支援に取り組んでおり、これも上述の支出額を押しあげた一因となっている。
●  災害被災地支援関連の支出は、387社で55億5,500万円
  社会貢献活動を推進するための専門部署や専任担当者の位置付けは、独立した部署では「CSR関連部門」に設置されている場合が26.4%と最も多くなっており、03年度にトップだった「広報・コーポレートコミュニケーション部門」や「経営企画部門」は減少している。専任担当者は、「広報・コーポレートコミュニケーション部門」「総務部門」「CSR関連部門」に所属している場合が多い。まだまだ専任担当者を置いている企業は少ないが、専門部署の設置については、前年度より若干増加している。
  災害被災地支援関連の支出について回答した387社の支出総額は、55億5,500万円。1社平均では1,440万円となり、2004年度の1社平均の社会貢献活動支出額3億5,100万円の4.1%を占めている。また社員や顧客などに募金を呼びかけた企業は221社あり、その募金総額は23億5,100万円となった。企業にとっては、自然災害に備え、各社がそれぞれの専門性を生かしながら、効果的な支援を展開することが重要になる。企業間のみならず、行政やNPOとも協議を重ね、連携していくことが求められるだろう。
●  CSRへの関心の高まりを受けて、情報公開の強化へ
  CSR(企業の社会的責任)への関心の高まりが自社の社会貢献活動に影響を与えていると回答した企業は、297社(回答企業の65.4%)と高い比率になっている。またその主な影響として、「情報公開の強化」を挙げる企業が最も多く、137社(影響があると回答した297社の46.1%)にのぼっている。「基本方針の見直し」は106社(同35.7%)、「プログラムの見直し」は104社(同35.0%)となっている。
  社会貢献活動の見直しにあたって、CSRの視点で優先順位の高いものを3つ以内で選んでもらったところ、「企業価値・コーポレートブランドの向上」が最も多く、219社(影響があると回答した297社の78.5%)にのぼっており、次いで「ステークホルダーへの説明責任の向上」149社(同50.2%)となっている。昨年の調査でも見られたように、CSRの枠組みの中で社会貢献活動を再検討するという傾向は強まっている。
  CSRへの関心の高まりの影響を受けて、各企業も社員のボランティア活動支援策について見直しを行っていくと思われるが、その際に最も大事なのは社員にとって使いやすく実際に利用者もたくさんいる生きたボランティア活動を促進する制度をつくることではないだろうか。
社会貢献活動支出額
本調査における社会貢献活動支出額とは、@寄付金総額(税法上免税とされるか否かにかかわらず、社会貢献を目的とした寄付金、現物寄付等)、A社会貢献を目的とした自主プログラムに関する支出額(税法上、広告・宣伝費等で処理されていても、実質は社会貢献活動と企業が認識している支出を含む)の合計。
なお、日本経団連では、政治寄付を社会貢献と位置付けていることから、2003年度、2004年度は、政治寄付を含めたデータとなっている。
出所:「2004年度 社会貢献活動実績調査結果」
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2006.02.20
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