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企画業務型裁量労働制の状況
●  導入職場ではおおむね運用状況は良好
  企画業務についての裁量労働制の実態に関する調査結果が報告された。これは実際に裁量労働制を適用されている部下を持つラインの管理職に対するアンケート結果である。
  企画業務型裁量労働制は2000年度から施行され、2003年にその要件が緩和された。ホワイトカラーへの成果主義の浸透が進むなかでありながら、また企画業務が時間管理になじまなく裁量性が高いという性格を持ちながらも、この導入率は低く、厚生労働省の調査では2005年度で0.6%という結果も出ている。
  実際に企画業務型裁量労働制を導入している職場のうち、「うまくいっている」という回答は80.1%に及んでいる。残り2割は「うまくいっていない」との回答である。「うまくいっている」と「うまくいっていない」との回答群を比較すると、「うまくいっている」職場は、裁量労働制の導入にあたって業務分担を見直したり、業務評価やプロセス評価など評価制度の客観性や納得性を高めていることが分かる。また苦情処理措置の整備も進んでいる。
●  導入時には業務の見直しが必要
  裁量労働制が「うまくいっている」職場では、適用者の裁量労働業務の比率が69.5%に及ぶが、「うまくいっていない」という職場では55.0%にとどまる。適用者の業務に占める裁量労働業務の比率が低いと運用がむずかしいようである。同時に、裁量労働制の導入にあたり、業務分担の見直しを行ったことが伺える。
  また「うまくいっている」職場では、自分の仕事が終われば退社できるという回答の割合が95.0%と高い。一方で「うまくいっていない」職場では、上司や同僚が残っていると退社しづらいとする回答が28.9%と多い。
  さらに特徴的なのが、メンタルヘルス面である。「うまくいっている」職場では、メンタルヘルスについては69.7%が「おおむね良好」との回答である一方、「うまくいっていない」職場では、「やや問題がある」「悪化傾向である」が合わせて、58.7%にのぼっている。
  企画業務型裁量労働制の導入が進まない理由として、これまで対象業務の範囲が限定されていることや導入手続きの要件が厳格であることが指摘されてきた。しかし、導入された職場の運用をみると、労働環境の整備に留意すれば、「うまくいく」制度であることが分かる。
出所:(財)社会経済生産性本部「企画業務型裁量労働制に関するアンケート調査結果概要」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.02.27
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