>  今週のトピックス >  No.1196
特例対象期間に上場株式を購入された方へ朗報
●  昨年と様変わりした相談内容
  毎年確定申告の時期になると、全国の税理士は各地の税務署や区役所に派遣されて税務相談を行うことになっている。早速筆者も事務所近くの区役所にて行われた税務相談に相談員として派遣された。そこで納税者からの相談内容が昨年と大きく違うことに気付いた。その違いは2点である。ひとつは年金生活者からの相談が多かったこと。今年の確定申告分から「老年者控除が廃止」されたことや「公的年金等控除が縮小」されたことにより、今年から確定申告が必要になった方が増えたためである。
  もうひとつ昨年との相違点は、株の税金相談が多かったことである。特に利益が出ている場合の相談だ。こんなところからも、景気回復の足音が聞こえてきているのかもしれない。今回は、そんな利益が出ている場合の株式譲渡の税金の中で、今年から適用できる特例について紹介する。
●  購入価額1,000万円まで非課税特例
  これは、平成13年11月30日から平成14年12月31日までに購入または払い込みにより取得した上場株式等を平成15・16年と保有し、平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に証券会社を通じて売却した場合に、購入価額1,000万円までについては、いくら利益が計上されていようが、その株の譲渡益について非課税とするというものである。ただしこの特例(特定上場株式等を売却した場合の購入価額1,000万円までの非課税特例)については、源泉徴収ありの特定口座を通じて売却された場合は、適用除外となっているので注意してほしい。
  また、この購入価額1,000万円までの非課税特例については、今年の確定申告分から初の適用となっている。そして適用を受けるためには、特定上場株式等の購入価額の証明書類を添付した「特定上場株式等非課税適用選択申告書」を平成18年3月15日(確定申告期限)までに、所轄税務署長に提出しないといけないので留意されたい。
  以下参考までに、措置法条文を掲載する。
(参考)
  (特定上場株式等に係る譲渡所得等の非課税)第37条の14の2
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が、平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に、上場株式等(第37条の10第2項に規定する株式等のうち証券取引法第2条第16項に規定する証券取引所に上場されているものその他これに類するものとして政令で定めるものをいうものとし、その譲渡が、第37条の11の4第1項に規定する源泉徴収選択口座(以下この項において「源泉徴収選択口座」という。)に係る同条第1項に規定する特定口座内保管上場株式等の譲渡に該当するもの及び源泉徴収選択口座において同項に規定する差金決済の処理が行われた同項に規定する信用取引等に係る上場株式等の譲渡に該当するものを除く。以下この項において同じ。)でその者が租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成13年法律第134号)附則第1条ただし書に規定する日から平成14年12月31日までの間に取得(購入又は払込みによるものに限るものとし、政令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)をしたものとして政令で定めるもの(その取得の時において上場株式等に該当していたものに限る。以下この条において「特定上場株式等」という。)の譲渡(これに類するものとして政令で定めるものを含むものとし、証券取引法第2条第20項に規定する有価証券先物取引の方法により行うものを除く。以下この項及び第3項において同じ。)のうち次に掲げる特定上場株式等の譲渡をした場合には、その年においてこれらの譲渡をした特定上場株式等のうち、次項に定めるところにより提出した同項に規定する特定上場株式等非課税適用選択申告書にこの項の規定の適用を受けるものとして記載されたものでその取得対価の額(購入した特定上場株式等についてはその購入の代価の額をいい、払込みにより取得をした特定上場株式等についてはその払い込んだ金額をいう。以下この項及び次項において同じ。)の合計額が1000万円(その年の前年又は前々年においてこれらの譲渡をした特定上場株式等につき次項に規定する特定上場株式等非課税適用選択申告書が提出されている場合には、政令で定めるところにより、1000万円からこの項の規定の適用を受けるものとして当該特定上場株式等非課税適用選択申告書に記載された特定上場株式等に係る取得対価の額の合計額を控除した残額。次項において「非課税適用購入限度額」という。)に達するまでのものの当該譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(第32条第2項の規定に該当する譲渡所得を除く。)については、所得税を課さない。
  1. 証券業者(第37条の11第1項第1号に規定する証券業者をいう。次号において同じ。)、銀行又は証券取引法第2条第8項に規定する協同組織金融機関への売委託により行う特定上場株式等の譲渡(これに類するもので政令で定めるものを含む。)
  2. 証券業者に対する特定上場株式等の譲渡
  3. 第37条の10第3項各号又は第4項に規定する事由による特定上場株式等の譲渡として政令で定めるもの
  4. 特定上場株式等を発行した法人に対して商法第220条ノ6第1項(同法第221条第6項において準用する場合を含む。)の規定に基づいて行う同法第220条ノ6第1項又は第221条第6項に規定する端株又は一単元の株式の数に満たざる数の株式の譲渡
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.02.27
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