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魅力を増している米ドル投資
●  FRB新議長に世界中の投資家が注目
  米連邦準備理事会(以下、FRB)の議長が、グリーンスパンからベン・バーナンキに交代した。FRB議長は、米国の政策金利注1を決定する人物である。
  政策金利とその影響について分かりやすく言うと、政策金利を引き上げれば、市場に出回る通貨(米国の場合なので米ドルのこと、以下米ドル)が抑制され景気の過熱感を冷ます効果が期待できる。この政策は経済が好景気下にあり不動産や株式などの一部が急激に上昇するなどのバブル懸念が見受けられる際などに取られることが多い。
  一方で、政策金利を引き下げれば市場に出回る通貨(米ドル)が多くなり、景気を下支えする効果が期待できる。これは、景気が下降局面の際などに取られる政策で市場に出回る米ドルを増やすことで経済を活性化させる効果が期待できる。世界中の投資家は、新議長バーナンキ氏が経済に引いては米ドル相場に大きな影響を与える政策金利をどう舵取りしていくか注目している。
●  米ドル>ユーロ>円
  ではドル相場に影響を与え、場合によっては大きな変動要因をはらんでいるこの時期に、米ドル投資はどう考えるべきなのか。
  そのヒントのひとつが、政策金利は銀行預金の金利に大きく影響し、一般的には政策金利が高い国の通貨建ての外貨預金金利は高く設定されるという点である。下表のように現在の米国の政策金利が日本やユーロの政策金利に比べても非常に高くなっていることに注目したい。
【表1 2006年2月現在の各国の政策金利】
米国 日本 ユーロ 英国 豪州
4.5% 0.1% 2.25% 4.5% 5.5%
  また、外貨預金を行う際には為替手数料が発生し、その額は通貨ごとに異なる。手数料率とは、現在の為替水準と為替手数料の比率を表したもので、為替手数料率は低いほうが当然預金者にとっては有利となる。また、為替手数料はその通貨の流通量に左右され流通量の多い通貨ほど安くなる傾向がある。通貨ごとの為替手数料と手数料率の一覧表は次の通りである。
【表2 一般的な銀行の為替手数料注2と手数料率】
通貨 米ドル ユーロ 英ポンド 豪ドル
為替手数料(1) 2円 3円 8円 4円
1通貨単位(2) 118円前後 141円前後 209円前後 87円前後
手数料率(1)/(2) 1.7% 2.1% 3.8% 4.5%
  表1で明らかなように、金利で外貨を選択するなら、豪ドル⇒米ドル・英ポンド⇒ユーロの順になり、表2の手数料率で選択するなら、米ドル⇒ユーロ⇒英ポンド⇒豪ドルとなるのである。つまり、金利と手数料の両面から見ても今の米ドルは非常に魅力的な通貨といえるのである。 今後も為替の変動要素を含んでいるとはいえ、現在の状況は少なくともユーロよりは米ドルの方が魅力的といえるのではないであろうか。ましてや、ゼロに近い円預金とは比べるまでもないであろう。
注1:政策金利とは、市中金融機関に対して中央銀行が貸し出しを行う際の適用金利。日本でいえば公定歩合のこと。
注2:為替手数料はあくまで一例であり銀行ごとに異なる。
※当記事は、あくまで筆者の見解や予想、考え方を紹介したものであり、個別商品の売買の推奨を意図したものではありません。
2006.02.27
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