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新法施行前の有限会社設立を検討
●  新会社法とは?
  平成17年6月29日、第162回国会で「新会社法」(以下、新法)が成立した。
  今までばらばらだった会社に関する法律(商法や有限会社法)が、会社法に一本化されることになる。また法律条文ついては、古くて読みにくかった片仮名文語体表記から平仮名口語体表記となり分かりやすい法律に生まれ変わる。この新会社法というのは、すべてのビジネスマンに影響があるといえるであろう。
  その新法においては、会計参与制度の創設や合同会社の新設、機関設計の柔軟化などその内容は多岐に渡っている。その中でも特に、有限会社が廃止され、それにともない資本金規制がなくなり、資本金1円以上での株式会社設立という形になることは大きな改正といえる。
  そこで今回は、新法施行前にあえて「有限会社」をつくるメリット・デメリットを考えてみたい。
●  新法施行前に有限会社をつくるメリット
  新法施行前に「有限会社」をつくるメリットとしては、まず「役員改選が不要」というのがある。これは現行の株式会社であれば取締役2年・監査役4年の任期であるが、新法施行後は、定款の変更によって最長10年とすることができる。しかし、現行の有限会社法では、取締役・監査役の任期は規定がないため、無期限となる。これは役員改選登記のための事務やコスト負担を削減できるという点で、メリットがあるといえる。
  また「決算公告が不要」というのも、新法施行前に有限会社を作るメリットといえる。決算公告は新法において義務化されているが、現在の有限会社法では必要ではないからである。
  さらに現在有限会社をつくれば、確実に設立後2年間消費税免税という税の恩典が受けられる。また新法施行前に設立した有限会社は、新法施行後、特例有限会社として存続することも株式会社に組織変更することもできるので、選択権があるともいえる。
●  デメリットがもたらす影響も考慮
  逆に今、駆け込みで有限会社をつくるデメリットとしては、原則300万円の資本金が必要という「最低資本金規制」がある。ほかにも「有限会社」というネーミングがもたらす信用力の低下イメージもデメリットといえるかもしれない。   最終的には、新法施行前に有限会社をつくるメリットとデメリットを総合勘案して決めることになる。
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.03.13
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