>  今週のトピックス >  No.1209
約3分の1の人が持ち帰り仕事の経験あり
●  持ち帰り仕事の頻度は、「たまにある程度」が約半数
  独立行政法人労働政策研究・研修機構は、3月8日「日本人の働き方総合調査」の結果を発表した。その調査結果によると、持ち帰り仕事をする人の割合は、約3分の1という結果になった。この数字を少ないと思うか多いと思うかは、読む人の環境によっても変わってはくるが、この数字は、男女別でみてもほとんど変わりはない。
  また持ち帰り仕事の頻度についての質問には、「たまにある程度」が半数程度を占めているが、「ときどきある」が3分の1、「頻繁にある」も15.9%いる。また、持ち帰り仕事を行う時間帯は、「休日」と「勤務日の帰宅後」とが多くなっている。
  持ち帰り仕事については、「いわゆるサービス残業になる」がほとんどであり、「賃金に反映される」とする人は0.6%とわずかである。「ケース・バイ・ケース」とする人も7.9%にとどまっており、このような状況では労使の間でいつ問題が起きてもおかしくないといえよう。
●  副業を持っている人は約6%
  正社員のうち副業を持っていると答えた割合は6%であり、その割合は男性よりは女性が多く、また、年代が上がるほど高くなっている。従業上の地位を中心にどのような副業をしているのかをみると、「別の会社に雇われている」(雇用者)が若い層を中心に4割近くを占め、次いで「家業」と「起業した事業」がそれぞれ2割程度となっている。
  副業に就業する頻度は、「月に数日程度」が4分の1程度が最も多くなっているが、「ほぼ毎日」から「季節的」まで広く分布している。その中で、副業も雇用者の人に限ってみるとほぼ2割が「ほぼ毎日」副業に従事している。副業を持つ理由は多様であるが、「本業だけでは生活できない」が20.1%(副業も雇用者では、32.8%)と最も多くなっている。副業を持っていることを本業の企業に「知らせている」とする人は4分の1にとどまり、「知らせていない」人が43.7%と多くなっている。
●  厳しい対応が求められる企業サイド
  今回は、数多くある調査結果の中から、持ち帰り仕事と副業についてピックアップしてみたが、時代の変化とともに企業の抱える問題も若干変わってきている。まず持ち帰り仕事の例でいけば、自宅で仕事をしている時間は、労働時間であるとみなされる可能性があるということや秘密情報の流出の可能性が高くなるということが挙げられる。
  同様に副業であれば、労働者の健康管理の問題(超過労働)や情報の持ち出し、または副業先に引き抜きにあったりすることなどが考えられる。特に副業については、会社の就業規則で禁止あるいは許可制になっているところがほとんどであるが、実態としては会社に知らせることなくやっていることが多いというのが深刻な問題である。また時間外に本業に影響のあるような仕事場(職種)などで働き、会社のイメージダウンにつながるような場合には、懲戒処分も考えられるが、結局は慎重に対応せざるをえない。
  各企業の経営陣にとって、これから労働者不足時代を迎えるにあたり、今後どのようにして労働者と良好な関係を築いていくのかが大きな課題であるといえるだろう。
出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「日本人の働き方総合調査」
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2006.03.20
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