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上向く大学生の就職内定率
●  大学卒の内定率は前年より3.2%上昇
  景気回復に伴い、大学生等の就職内定率も高い水準となっている。2006年2月1日現在での就職の内定率の調査が厚生労働省、文部科学省の共同で行われ、結果が報告された。
  大学生の就職内定率は85.8%であり、昨年4月に就職した大学生の2005年2月時点での内定率と比較して3.2ポイント上回っている。実数でみると、大学卒業予定者55.5万人に対して、就職希望者数は39.8万人、うち内定者が34.1万人である。
  男女別では、男子が87.3%、女子が84.0%と、まだ男女差があるものの、高い水準となっている。また国公立では84.3%、私立は86.2%であり、昨年の国公立84.8%、私立82.0%から比べると、国公立と私立の内定率が逆転している。
  以前2005年4月に新卒就職した学生の状況を報告したことがある(本欄「今週のトピックス」1035参照)。それによると、就職希望者は37万人であり、最終の就職率は男子で93.3%と前年(2004年就職者)より0.3ポイント改善している。女子は93.8%で前年より0.6ポイント改善している。
  今年の内定率は前年の就職率にはまだ及んでいないが,最終的には、それを上回るものとされている。
  気になるのは、地域によって内定率に差があることである。関東地区は91.7%と最も高い。中部地区85.5%、近畿地区84.7%となっているが、北海道・東北地区81.7%、中国・四国地区76.9%、九州地区78.0%と地域間の格差が目立っている。
●  短大卒も内定率は以前より向上
  一方、大卒に比べて苦戦が伝えられている短大卒の就職状況もやはり改善している。短大卒業予定者は9.9万人、うち就職希望者は7.8万人であり、内定者が5.4万人である。2月1日現在の内定率は、69.0%であり、これも前年を3.0%上回っている。
  内定率は大卒に比べて低いが,最終的な就職率は2005年卒業者では89.0%であり、大卒に比べて見劣りするものの高い水準にはある。
  来年の採用については、企業各社とも大幅に採用予定者数を増やしており、今後も内定率・就職率とも高くなるとの見方もあるが、企業は90年代前半のバブル採用が社内の人員構成にゆがみを来たしていることの反省から、質より量の採用にはならないと思われる。
出所:厚生労働省 「平成17年度大学等卒業者就職状況調査(平成18年2月1日現在)」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.03.27
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