>  今週のトピックス >  No.1216
その利益を確保するのに必要な売上高はいくら?
●  新会社法施行は5月1日
  いよいよ2006年5月1日に、いわゆる「新会社法」が施行される。資本金規制が撤廃されることなどから今まで以上に会社を作りやすくなるのではないだろうか。それに合わせて日本でも起業家の数が増加するのではないかと予想される。そこで今回は、事業を立ち上げるときにぜひ知っておいていただきたい経営分析の手法をご紹介する。
●  「BEP」ってなに?
  例えばあなたがラーメン屋さんの経営を始めると仮定して、必要な原価や固定費の額は把握しているとする。しかし肝心の売上高は・・・、それは開店してみないと当然分からないものである。
  • そこで、収支トントンになる売上高のラインって知りたくないであろうか?
  • さらには、ラーメンを何杯売れば赤字にならないのか知りたくないであろうか?
  • 儲かってきたときに、人を採用したいが収支的に大丈夫なのか知りたくないであろうか?
  • これだけの利益を確保したいが、そのための必要売上高を知りたくないであろうか?
  これらの疑問は「損益分岐点売上高(Break Even Point ブレイク・イーブン・ポイント=BEP)」の計算式を理解することによってすべて解決するのである。
  損益分岐点売上高(BEP)とは、売上高と費用が同じつまり利益も損失も発生しない売上高のことである。また損益分岐点売上高は利益が出るか損失が出るかの分かれ目であり、「使った費用を回収できる売上高」のことでもある。
●  損益分岐点売上高の求め方
  損益分岐点売上高の求め方は、まず費用を固定費と変動費に分ける。ちなみに固定費とは、売上高と関係なく一定の額が発生するもので、人件費、家賃、減価償却費等を指す。変動費とは、売上高の増減に応じて増減するもので、売上原価、運賃、販売手数料等である。
  次に「限界利益率」を計算する。これは、限界利益率=限界利益/売上高で求められる。限界利益とは、おおまかには粗利=売上総利益のことであるが、厳密には限界利益=売上高−変動費で求められる。図解すると以下のようになる。
  そしてその限界利益率を用いて損益分岐点売上高を求める。
  損益分岐点売上高(BEP)=固定費/限界利益率
それでは実際、損益分岐点売上高(BEP)を求めてみよう!
【説例】A社の損益分岐点売上高を求めなさい。
    売上高  1,500万円
    変動費   450万円
    限界利益 1,050万円
    固定費   770万円
    利益    280万円
【回答】限界利益率=1,050万円/1,500万円=0.7
 損益分岐点売上高=770万円/0.7=1,100万円
●  検証してみると…
  どうであろう、こうして計算してみると難しくないのではないだろうか。A社では、損益分岐点売上高が1,100万円ということなので、1,100万円までなら赤字にならないということである。検証してみると、1,100万円−(1,100万円×0.3)−770万円=0となるので、間違いない。
さらには、確保したい利益や採用予定の人件費などは、上記損益分岐点の計算式で固定費のところにその利益や人件費を上乗せすると、そのために必要な売上高が分かるので試していただきたい。
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.04.03
前のページにもどる
ページトップへ