>  今週のトピックス >  No.1222
株価再高騰で日経平均1万7,000円台に
●  量的緩和が上昇のきっかけ
  ライブドア・ショックで一時調整局面に入った株式相場に勢いが戻ってきた。日銀が3月9日に量的金融緩和政策を解除したことで金融政策の不透明感が払拭され、30日には日経平均株価の終値が5年7カ月ぶりに1万7,000円を付けた。堅調な企業業績を背景に個人・外国人投資家の買い意欲が戻ったことが株高の要因だが、長期金利の上昇や景気の動向など不安要素もある。
  日本企業の価値がこの1年間でどのくらい上がったか、皆さんはご存じだろうか。上場企業の価値は株価に株式数を掛けた「時価総額」で表す。2005年度の東証一部上場企業の時価総額トータルは前の年度比で49%増と17年ぶりに最高記録を更新した。つまり1年間で日本企業の価値は1.5倍も上がったのだ。
●  2007年3月期も企業業績は上向き
  東証に上場している企業の2006年3月期決算は4月から5月にかけて発表されるが、トータルで4期連続の増収増益はほぼ確実な情勢だ。4期連続が達成できればバブル期以来の記録となる。さらに主要証券会社の予想によると来期の経常利益も二ケタ近い伸びを示すようだ。無駄な資産を売り払うリストラを終え、収益力が付いてきたところに、中国を中心とするアジアの経済成長で世界的に好況となり、自動車や家電などの部品・製品の売れ行きは絶好調。企業業績は2007年3月期も堅調に推移しそうだ。
  この好調ぶりに目をつけたのが外国人投資家だ。日本企業の株を買いあさり、株価が一気に上昇してきた。それを横目に見ていた国内の個人投資家がどっと市場に流れ込んできて、この1年間の日経平均の上昇率は46%と戦後5番目の高水準となっている。
●  長期金利と外国人投資家の動向がカギ
  足元で株価が急回復したのは、日銀が量的緩和政策を解除したことも要因の一つだ。急な解除が市場を混乱に陥れるという恐れもあったが、日銀が慎重にタイミングを図ったうえに当面は市場金利をゼロにするゼロ金利政策を維持すると確約し、むしろ市場では不透明感がなくなったことが好感されたのだ。
  とはいえ、長期金利は将来のゼロ金利解除をにらみ10年物国債の金利は1.8%と1年7カ月ぶりの水準まで上昇してきた。金利が急激に上昇すれば、借金を抱える企業の業績が悪化し、上向きの景気に水を差す恐れもある。そうすれば、株の買いを膨らましてきた外国人が売りにまわり、それに追随して個人も売り込み、株価が急落するというシナリオも頭をもたげてくる。
  そういう意味で今後の株価を占うには、長期金利の変動と外国人投資家の動向を注視する必要がありそうだ。
2006.04.10
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