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雇用延長への企業の対応
●  定年延長実施はわずか5%
  人事に関する最新テーマとして雇用延長とワークライフバランスへの対応があるが、社会経済生産性本部が日本的人事制度の変容と題する調査を毎年行っており、本年のテーマの一部に雇用延長が含まれている。
  定年年齢の引き上げの予定については、2006年4月で改定した企業は5.5%に過ぎず、「将来に向けて検討中」でも18.6%と2割に満たない。一方で約7割にあたる66.8%の企業が「今後も改定を考えていない」としている。
  定年延長はほとんど実施されていないが、2008年からの雇用確保措置としては、複数回答であるが、「自社内で再雇用」(76.4%)、「グループ企業で再雇用」(45.3%)と大部分の企業が親会社またはグループ会社での再雇用を予定している。グループ内での再雇用を行う際の継続雇用者の選定基準としては、「業務に支障のない健康状態であること」が73.2%とトップに上げられる。次に「人事考課などで継続して一定以上の評価を継続していること」が53.5%である。さらには「定年後の担当する業務が明確に決まっていること」が29.4%、「必要な公的資格や社内資格を有していること」が20.6%、「社内等級が一定以上であること」が18.0%などと続いている。
●  再雇用の職場を選べる企業は約半数
  このように再雇用できるようなキャリア開発への取り組みをみると、「キャリアプランセミナーなどの研修を実施」が26.5%、「資格取得などの自己啓発支援」が17.8%、「面接をつうじたキャリア開発意識の醸成」が14.6%、「継続雇用に関するニーズ調査の実施」が13.2%と上がる一方、「特別な取り組みをしていない」が50.7%であり、2社に1社は何も対策を打っていない。なお、キャリアプランセミナーの受講対象年齢は、50歳または55歳に集中している。
  再雇用での継続雇用希望者に対して、職務内容や勤務形態などでの選択肢を提示指定しているかについては、選択肢がない企業が35.5%、選択できる企業が45.6%(他に無回答が18.9%)と半数近い企業で選択肢がある。選択肢の数は2つが47.1%、3つが32.2%である。また選択肢の設定方法は、「勤務形態」を選べるものが74.8と大部分を占め、職種を選択できるものは58.6%である。また保有する資格やスキルに応じて選択できるものは45.9%である。
  再雇用者の人事考課については、「考課制度があり、処遇に反映している」企業が44.0%、「制度はあるが処遇には反映していない」が10.3%、残り半数が考課制度自体がない。
  再雇用者の受け皿整備はまだまだこれからである。
出所:財団社会経済生産性本部「第9回 日本的人事制度の変容に関する調査結果概要」
(可児 俊信、(株)ベネフィット・ワン コンサルティング室、千葉商科大学会計大学院教授、
CFP®、米国税理士、DCアドバイザー)
2006.04.17
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