>  今週のトピックス >  No.1225
ジョブカフェは、利用者の視点を重視すべき
●  ジョブカフェの利便性は高評価
  経済産業省とジョブカフェ・サポートセンターは3月22日、都内で各地のジョブカフェの活動状況などを報告するイベントを開催した。ジョブカフェとは、平成15年に国が策定した「若者自立・挑戦プラン」の中核的施策に位置付けられたもので、経済産業省が行っている事業である。
  地域の実情に合った若者の能力向上と就職促進を図るため、若年者が雇用関連サービスを1カ所でまとめて受けられるようにしたワンストップサービスセンターなので、利用者側にとっては使い勝手はいい。またさまざまな就職支援サービスを無料で受けられるカフェ感覚の場所ということもあって利用者数も伸びてきている。
  しかしながらジョブカフェの認知度をあげ、利用者の満足度をさらにあげるのは簡単ではない。今回のイベントをきっかけに各地のジョブカフェで新たなアイデアが生まれ、より活性化することに期待したいところである。
●  カウンセリング機能の強化が満足度アップへ
  今回の発表によると、全国のジョブカフェの利用者は1月末時点で延べ240万人、就職決定者数は12万人となっており、就職決定者数も安定してきている。
  イベント当日はカウンセリングを重視した山口県や「2週間で内定獲得」という目標を設けたプログラムを始めた千葉県、若者と地域のものづくり企業との橋渡しを進める石川県などの取り組みが紹介され、参加者にとっては大変参考になったに違いない。
  また就職決定率の高い地域のモデル的な取り組みとして、青森県と沖縄県の事例も紹介された。青森県の場合には企業と若者を結びつける、カウンセリング機能を強化しているのが特徴であり、具体的にはカウンセラーに対して地元企業を訪問させる等により、業種別の企業情報や業界知識習得のための人材育成を重点的に実施している。同様に沖縄県は、若者と地域企業の出会いの場を創造することを大事にして、企業の若手社員と若者が気軽に意見交換することで、互いを知り合う出会いの場を設定するなど意欲的に活動している。
●  若者の雇用推進の鍵は、「連携」
  経済産業省が行ったジョブカフェ利用者の満足度調査によると、多くの利用者がカウンセリングを役立つと考えており、満足度も高い。一方、多くの利用者が情報提供のサービスを受けているが、そのサービス提供に対する満足度や効果に対する満足度は低い。職場体験を利用した人数が少なく、サービス提供に対する満足度は低いが、その効果に対する満足度は高い。
  ジョブカフェは、若者向けサービスに加え、効果的に事業を実施するために、学校向けサービスや企業向けサービスなど、事業の範囲が拡大してきており、全体をコーディネートするセンター長の役割がますます重要になってきている。
  若者の雇用推進のためには企業、役所等のタテ割りを超えた連携が重要であるがまだまだ課題も多い。若者に選ばれ、企業を惹き付け、地域に根ざした理想的なジョブカフェになるためには、時代の変化に合わせた新しい発想や創意工夫が必要ではないだろうか。
出所:経済産業省/ジョブカフェ・サポートセンター
「ジョブカフェホット!ミーティング 〜ジョブカフェベストプラクティス発表祭〜」
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2006.04.17
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