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役員給与損金不算入の基準所得の計算方法が判明
●  欠損金額も計算要素の一つ
  平成18年度税制改正での注目点のひとつである特殊支配同族会社いわゆる実質一人会社に対する損金算入制限措置における基準所得金額の計算方法が判明した。この損金算入制限措置はオーナー社長(業務主宰役員)の役員給与の給与所得控除相当額を損金不算入とするものだが、過去3事業年度の所得水準が800万円以下の場合と、所得水準が800万円を超えても3,000万円までは、社長給与の占める割合が50%以下であれば適用除外となる。
  そこで、基準所得金額の計算方法が注目されていたが、このほど政令で判明した。具体的には、「所得金額+オーナーの役員給与額+繰越欠損金の適用金額」から「(欠損金額−オーナーの役員給与額)+特殊支配同族会社に該当する前に生じた欠損金額等」を差し引いた金額を、その基準期間内事業年度の月数の合計数(3年なら36カ月)で割り、これに12を掛けた金額が基準所得金額となる。
●  新設法人も同様に計算
  このように、計算では欠損金額も一要素となることから、赤字法人であっても過去の給与所得や繰越欠損金の適用金額が多ければ損金算入制限措置が適用される可能性がある。この算式では、欠損金額は控除されるが、役員給与が多ければ控除額は少なくなる仕組みだ。だから、過去の事業年度に支払ったオーナー社長の役員給与や繰越欠損金額が多ければ、基準所得金額が大きくなり、適用除外とならないおそれもあるわけだ。
  過去の事業年度が3年に満たない法人や新設法人なども、この計算方法で判定する。こうして計算した結果、適用となれば、当期のオーナーの給与所得に応じて、法人の課税所得にオーナーの給与所得控除額相当分が加算される。その額も政令で規定されたが、現行の給与所得控除額と同額だ。例えば、今期の給与所得が65万円以下でも損金不算入額はその役員給与の100%相当額、同800万円であれば、200万円が加算となる。
●  同族関係者等の判定
  また、実質一人会社(特殊支配同族会社)の判定基準には、オーナーおよびその同族関係者等の同族会社の株式(出資)所有割合が90%以上と規定されているが、この「同族関係者等」の判定についても政令で定められている。
  それは、1)業務主宰役員の親族、2)業務主宰役員と事実上婚姻関係と同様の事情にある者、3)業務主宰役員の使用人、4)業務主宰役員から受ける金銭その他の資産によって生計を維持しているもの、5)3)までに掲げる者と生計を一にするこれらの親族、6)業務主宰役員などが同族会社を支配している場合におけるその同族会社など、8項目となっている。
(浅野 宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2006.04.17
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