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「駅ナカ」商業施設の課税を強化
●  東京都が固定資産税評価見直しへ
  皆さんは、いわゆる「駅ナカ」といわれる商業施設を利用したことがあるだろか。最近では、JR東日本が駅構内型商業施設として「エキュート」を大宮、品川駅にオープンした。ほかにも「駅ナカ」施設としては、東京メトロの表参道駅構内に「エチカ表参道」を開業、また京王電鉄は京王新宿駅構内に「フレンテ新宿」を相次いで開業した。
  こういった「駅ナカ」商業施設の開業ラッシュに対して、東京都は4月14日、23区内にある鉄道の駅構内商業施設用地の固定資産税評価を、駅前の商店街並みに見直すことを決めた。これは今年度が3年ごとの固定資産税評価替えの年にあたるためでもある。
  課税の根拠としては、「駅ナカ事業と駅前商店街などの税負担を公平にする必要がある」(主税局)としている。つまり、駅前商店街の敷地や建物については通常の商業施設としての固定資産税の負担を強いているのであるが、「駅ナカ」商業施設に対する敷地の固定資産税については、その敷地が鉄道用地に該当するとして非常に低い評価となり、結果として「駅ナカ」商業施設用地に対する固定資産税の負担が近隣の駅前商店街より低くなっているのが現状である。これを是正したいというのが、東京都の考えだ。すでに23区内で営業する鉄道事業者16社と折衝を始めている。東京都では数億円から数十億円の増収を見込んでいる。
●  敷地保有の有無で異なる課税強化の影響
  東京都の「駅ナカ」商業施設に対する課税強化の動きに対して、例えば大宮や品川駅で「エキュート」を営業するJR東日本はその敷地を自社が保有しているため(課税強化対象とされれば)影響は大きいといえる。しかしその一方、東京メトロの表参道駅構内にオープンした「エチカ表参道」などでは、土地は賃借のためその影響は小さいかもしれない。また在京私鉄各社は、JRと比べると駅構内の大型商業施設は少ないため、これまた影響は小さいかもしれない。
  しかし土地を賃借している場合などでもその土地の固定資産税が上がれば、その分賃料に上乗せされる可能性があるため、じわじわと影響してくる可能性がある。またJR東日本が運営する「エキュート」などに固定資産税強化となった場合、入居しているテナント各社にも同様(賃料アップ)に、影響があるかもしれない。それは引いては、そこで買い物をする一般消費者に価格転嫁されるのかもしれない。
  また今回は東京都だけの動きではあるが、今までの例をみても今後ほかの都道府県が追随する可能性は十分ありうる。
(今村 仁 今村仁税理士事務所代表、税理士、宅地建物取引主任者、1級FP技能士)
2006.04.24
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