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育児休業取得で中小企業にも助成金
●  一般事業主行動計画の策定がカギ
  厚生労働省は、平成18年4月から「中小企業子育て支援助成金」を創設した。この助成金は、従業員100人以下の中小企業が対象となっているが、今までの助成金よりも使い勝手はよさそうである。助成金というと種類もたくさんあって分かりにくいイメージがあるが、この助成金については支給要件などもそれほど複雑ではない。
次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」※1の策定が高いハードルになるかもしれないが、この計画は300人を超える企業では法律で策定、届出が義務となっており、厚生労働省の調べ(平成17年12月)では、301人以上の企業の97%と、ほぼすべての都道府県において行動計画が策定されたようである。300人以下の企業では行動計画の策定・届出が努力義務となっているが、今回の助成金の最初の支給要件を満たすためにもぜひとも挑戦してみる価値はあるのではないだろうか。
●  他社との差別化を図る大きな武器
  中小企業子育て支援助成金については、下記にポイントをまとめておいたが、助成金だけのために行動計画を策定してもほかの要件を満たすことができなければ、当然助成金を受給することはできないので、正確に受給要件を把握しておくことが必要である。今後中小企業は採用がますます厳しくなってくるが、「より良い雇用環境」は他社と差別化できる大きな武器となるので短時間勤務制度などは積極的に導入を検討していただくことが望ましいのではないだろうか。
※1 「一般事業主行動計画」とは
それぞれの企業等が、労働者の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない労働者も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、計画期間、目標、その達成のための対策と実施時期を定めるもの。
■中小企業子育て支援助成金の概要
1 支給要件
 中小企業事業主(従業員100人以下)が次世代育成支援対策推進法の「一般事業主行動計画」を策定・届出し、以下A,Bのいずれかの措置を講じるもの。
A.育児休業の付与
 子の出生後6カ月以上育児休業を取得し、職場復帰後6カ月以上継続して常時雇用されていること。
B.短時間勤務制度の適用(3歳未満)
3歳未満の子を持つ労働者が6カ月以上短時間勤務の制度を利用したこと。
 よって、支給申請時期は、A (短時間勤務)については平成18年10月1日以降、B (育児休業)については平成19年4月1日以降となります。
2 助成額
 1のA(育児休業)、B(短時間勤務)のいずれかの措置の利用者が初めて出た場合、2人目まで次の額を支給する。
1人目:
育児休業  100万円(定額)
短時間勤務 利用期間に応じ、60万円,80万円または100万円
2人目:
育児休業  60万円(定額)
短時間勤務 利用期間に応じ、20万円,40万円または60万円
出所:東京労働局「中小企業子育て支援助成金の創設について」
(庄司 英尚、庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2006.05.15
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