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中央青山の業務停止で顧客企業は大混乱
●  7-8月に監査業務ができない重い処分
  カネボウの監査人を務め、所属の公認会計士が粉飾決算に加担した中央青山監査法人が金融庁から監査業務停止という極めて重い処分を受けた。中央青山は上場企業約800社を含む2000社以上の顧客企業を抱えているが、7月から2カ月間監査業務ができなくなる。そのため、監査を受けている企業は監査法人を変えるなどの対応を迫られている。
  そもそも会計監査とは企業が作成した財務関連の書類を、第三者の公認会計士が審査することだ。粉飾決算などの疑いがあれば、会計士は監査報告書の中で決算は不適正だと表明できる。この場合、企業が証券取引所に上場していれば上場廃止にもなりかねないので、社会的責任は非常に重い。
●  顧客の多数が大手企業
  中央青山が業務停止という重い処分を受けるのは、監査先企業だったカネボウが1999年3月期から2003年3月期の決算書類を粉飾した際、所属の公認会計士が加担していたためだ。金融庁が中央青山、トーマツ、新日本、あずさの四大監査法人に対し業務停止命令を出すのは初めてで、異例の厳しい処分となった。決算をチェックするはずの監査法人が粉飾を指南していたという前代未聞の出来事であり、処分は妥当といえる。
  中央青山は1968年に設立の監査法人中央会計事務所が前身。2,000年に青山監査法人と合併し今の形になった。トヨタ自動車やソニー、資生堂など日本を代表する大手企業も多数顧客に名を連ねている。
●  顧客企業は大迷惑
  大迷惑を被るのはこうした顧客企業だ。会社法監査では監査法人が業務停止命令を受けると監査契約が無効となる。企業の多くは3月期決算で、6月下旬に株主総会を迎えるため、この場で別の監査法人を監査人として選ぶというのが選択肢の一つ。ただ監査法人を交代すると、非常に複雑な監査業務を新たな会計士に引き継ぐ必要があり、企業にとっては負担が重い。
  しかも監査法人は大手4社の寡占状態にあり、ほかの3社が中央青山の顧客をすべて引き受けるのは事実上不可能だ。株主総会の通知を株主に発送するまでには、あと1〜2週間程度の時間しか残されておらず、それまでに新たな監査法人を内定するのは難しいだろう。多くの企業にとって最も現実的なのは、7月の業務停止後ただちに総会の承認なしで緊急避難的に選任できる「一時監査人」を置くという選択肢だ。
  いずれにしても7−8月の「空白の期間」にどのような対応をとるか、速やかに結論をださなくてはならない。株主総会を控えて本当に面倒な問題が持ち上がったというのが顧客企業の本音だろう。
2006.05.22
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